国交省、ドローンポート一体化 試作品の機能を来月に検証 汎用品の普及を想定
行政
2017/08/24 0:00
国土交通省などは9月、小型無人機(ドローン)による荷物輸送の実証実験で、物流用ドローンポートのプロトタイプ(試作品)の機能を検証する。プロトタイプは現在開発中で、機体を誘導するためのマーカーや、公衆無線LAN(Wi-Fi)などを一体化したシステムとなる予定だ。(田中信也) 18日に開かれた物流用ドローンポート連絡会(鈴木真二座長、東京大学大学院教授)で、2015年度の実証実験で明らかになった技術課題の検証を踏まえてのポートの開発状況について、事務局を務める総合政策局物流政策課、ドローンベンダー(供給者)のブルーイノベーション(熊田貴之社長兼CEO=高経営責任者、東京都千代田区)などが報告した。 15年度の実証実験では、課題として①天候によりマーカーの認識にバラつきが発生する②GPS(全地球測位システム)からマーカー認識に切り替えた際に機体が大きくふらつく③マーカー認識用のカメラが機体の真下にあるため荷物スペースの設置が難しい④上空30メートル超の高度ではマーカーを認識できず機体を誘導できない⑤設置面が水平でないと機体が転倒するなど安全に着陸できない⑥離着陸を発着双方のポートで情報共有する必要がある――が判明。 これを受け、認識漏れの少ないマーカーの配置、マーカー検知用のカメラの位置変更の検討のほか、ポートの状態(映像、利用可否、風向、風速)をクラウド上で閲覧する機能やプロトタイプの開発などを進めている――と説明した。 プロトタイプでは、マーカーやWi―Fi、風速計、進入検知用センサー、管理用パソコンなどの必要な機器を一体化。9月上旬には、長野県伊那市の道の駅アルプスむら長谷を起点に実施する実証実験で使用する予定だ。 10~12月に行う終の実証実験を経て、機能を更に検証し、17年度末にポートの運用指針を取りまとめる。18年以降の離島・山間部でのドローンによる荷物配送の本格化に向け、プロトタイプを基にしたポートの汎用(はんよう)品が普及することを想定している。 なお、9月の実証実験では、ポートへの第三者の侵入や強風の有無が通知された際に機体が安全に停止・解除できるかの機体姿勢制御、ポートへの離着陸を遠隔で確認できるクラウドシステムの機能を検証。発着地点と異なる場所に監視地点を設置し、目視外の状態でクラウドシステムのインターフェースを見てポートの状況を確認する。 【写真=物流用ドローンポート連絡会でポートの開発状況を報告】