美野里運送倉庫、トマト収穫を請け負い カゴメと共同で農家の負担軽減
物流企業
2017/08/14 0:00
美野里運送倉庫(岩松健臣社長、茨城県小美玉(おみたま)市)は4日から、ジュース用トマト専用の収穫機を使った収穫作業の請負業務を開始した。食品大手のカゴメとの共同事業。メーカーと協力してトマトの収穫作業に乗り出すことで、農家の負担軽減を図り、栽培しやすい環境を整備して収穫量の増加を目指す。(谷本博) ジュース用トマトの収穫時期は7月中旬から8月いっぱいがピーク。炎天下の作業に加え、ほぼ手積みで行われており、高齢化と後継者不足が深刻化する農家にとって大きな負担となっていた。その一方で、収穫機を自前で導入することも金銭的な負担が大きい。こうした状況を受け、生産者が栽培作業に専念できるよう、収穫作業や収穫機の運用を外部に委託する「収穫委託」の実証実験をスタートさせた。 カゴメが出荷する加工用トマトの輸送を手掛けている美野里運送倉庫が今回、更に一歩踏み込んで、生産工程の一部に参入。新たに導入した収穫機は、カゴメと他社メーカーが共同開発したもので、一式の購入費用の1500万円は、美野里運送倉庫が全額負担した。 作業は、トマトを苗ごと刈り取ってふるいにかけ、落ちた果実をベルトコンベヤーで運び、コンテナに投入する。収穫能力は1日当たり13.5トンと、大型トラック1台分以上になり、作業効率は手作業の数倍向上する。美野里運送倉庫のトラックドライバーが2人1組となってオペレーターを務める。 カゴメの加工用トマト産地は、茨城や新潟、北海道など広域にわたる。中でも茨城は、総収穫量の6割を占めている。このため、カゴメとしても、今回の茨城での実証実験を栽培面積の増加に向けた試金石とする考えだ。 美野里運送倉庫の枝農夫男取締役統括部長は「カゴメの那須工場(栃木県那須塩原市)までの間を、ピーク時には大型トラックで1日当たり40台が往復する。北海道にも出向くが、今年は収穫機を積み込んだトラックとともに、大型車で乗り入れる。新潟では広大なトマト農園があり、8日間の出張工程になる」と意欲を示している。 【写真=茨城県内のトマト農園で稼働する専用収獲機】