智商運輸、発荷主の信頼支え 機動力あるサービス
物流企業
2017/08/10 0:00
【岡山】智商運輸(河合智哉社長、岡山市東区)は1999年4月設立の若い会社だが、一般貨物自動車運送事業や福祉タクシー事業を手掛けるほか、子会社の智商ロジシステム(同)でドローン(小型無人機)事業にも挑戦している。6月には、国道2号バイパス沿いの中古物件をリフォームし、岡山営業所(東区)を開設。保管や流通加工など総合物流サービスを強化する構えだ。(江藤和博) 河合社長(43)が常に心掛けているのは凡事徹底。「我々は、単に荷物を運ぶだけでなく、発荷主と着荷主の間に築かれた信頼関係を支えている。ドライバーにはいつも信頼が一番だと言っており、凡事を徹底することで仕事を増やしていきたい」と話す。 保有車両はウィング車を中心に20台で、自動車部品、食品、印刷物の輸送が3本柱。岡山営業所の開設を機に、4本目の柱のメドが付いているという。また、梱包発送代行や国際物流など事業領域を広げている。智商ロジシステムで行っているドローン事業は、農薬散布や空撮代行、測量・稲作管理などの需要を見込んでおり、新時代を見据えて本腰を入れていく分野だ。 車両にはコーポレートカラーである朱色を使用。河合氏は「朱色は生命を象徴する色で、情熱を表現している」と説明する。ドライバーの平均年齢は38歳で、岡山県南部のトラック事業者の中では群を抜いて若い。小回りが利き、機動力のあるサービスが売りで、関西・中京地区を主力の配送エリアとして、保有車両はフル稼働の状態にある。 人材確保は、社員の紹介によるものが中心。勤続年数が10年を超える社員も多く、職場環境は社員からの評価が高い。こうした中で、河合氏がこだわるのは定着率の向上だ。 「離職率を下げるのは、会社の規模に関係無く重要課題。当社はここ2年ゼロが続いているが、10%を超える時期もあった、離職率を常に検証しながらコンプライアンス(法令順守)を進め、ホワイト企業を目指す。会社にとって一番の役割は社員の生活を守ることだ」 社員の生活を守るという観点から、高齢化した社員の受け皿として福祉タクシー事業にも参入。現在は1台での営業だが、様子を見ながら増車も検討する。 岡山営業所は2階建てで、延べ床面積1650平方メートル。一階は、印刷物などの流通加工を行う倉庫に充て、2階の事務所にはセミナールームを設けた。社員教育を更に強化するためで、自前でフォークリフト講習を毎月実施し、その模様を撮影した写真を荷主と共有している。 また、EMS(エコドライブ管理システム)機器を導入し、二酸化炭素(CO2)の削減、燃費向上、事故減少などに取り組んでいる。 こうした努力の積み重ねもあって、自動車安全輸送規則に規定する重大事故や労災事故は設立からゼロが続いている。 未来戦略として、河合氏は「保有台数を増やす計画はあるが、規模拡大のみに走らず、既存顧客を大切にしながら、小さくてもかっちりした企業にしたい」と話している。 【写真=6月に開設した岡山営業所は国道2号線バイパス沿いの好立地】