川崎近海■清水-大分航路、デイリー化 年度内に 既存のRORO船投入
産業
2017/08/07 0:00
川崎近海汽船は2018年3月末までに、清水(静岡県)-大分(大分県)航路をデイリー化する方向で最終調整に入った。7月下旬からイオン、サッポロホールディングスの両社が同航路を利用した共同輸送を始めたことなどを受け、「早期実現」を望む声が高まっているため。追加配船する船舶には、九州向け航路に就航中のRОRО船を投入する方向で検討する。デイリー化の前倒しによって利便性向上を図り、旺盛なモーダルシフト需要の取り込みを加速させる。 清水-大分は2016年10月に新設された定期航路で、現在、RОRО船1隻による週3便の運航サービスを行っている。2隻によるデイリー化について、同社はこれまで「早期に実現させたい」としていたが、実施時期については明言を避けてきた。しかし、今回のイオン、サッポロHDの共同輸送開始などにより、航路の利便性や優位性などが注目されたことから、前倒しで実施することとした。 就航船「北王丸」は1万1490総トン型で、シャシー160台(12メートル換算)、乗用車100台の積載能力を持つ。航海時間が20時間であることから、九州全域と首都圏・甲信地区には3日目午前中の配送が可能。今後は、静岡市-山梨県甲斐市-長野県小諸市を結ぶ中部横断自動車道の延伸に伴い、集配圏が更に広がる見通しだ。 イオンとサッポロHDによる共同利用の取り組みでは、シャーシ1台を使い、週に2往復して双方の商品を輸送。大分港からはイオンが福岡県内の工場で生産したプライベートブランド「トップバリュ」の飲料などを関東方面へ、清水港からはサッポロHDが静岡県内の委託先工場で製造した清涼飲料水を九州へ運ぶ。物流業務は、センコーグループホールディングス傘下のセンコー(福田泰久社長、大阪市北区)が担う。 川崎近海によると、今回の大手荷主の航路利用が本格開始されたことなどにより、海上輸送によるモーダルシフトに関する問い合わせが相次いでいる。同社では「多くの利用事業者から、一日も早いデイリー化を要望されていた。引き続き、航路の認知度とともに、利便性の更なる向上を図りたい」(川崎誠司常務)としている。(高木明) 【写真=清水港でシャシーを積み込む北王丸】