東京海上日動/ケニア物流事情調査、北部開発回廊で渋滞深刻 未舗装部分が多く
産業
2017/07/31 0:00
東京海上日動火災保険(北沢利文社長、東京都千代田区)が行ったケニア物流事情調査によると、モンバサ港と、同港から首都ナイロビを経由してウガンダに延びる物流ルート「北部開発回廊」では、慢性的な渋滞が深刻な問題になっている。また、路面環境は未舗装部分が多く、貨物へのダメージが懸念される状況が続いている。ただ、近年は経済成長率が5%を超えるなど、東アフリカへの注目度が高まっており、同社では、今回の調査結果を現地に進出する日系企業や物流事業者に活用してもらいたい考えだ。(高橋朋宏) 調査は2016年11月に実施し、17年7月21日に概要を発表した。 ケニアは東アフリカの玄関口で、英語普及率が高い。アフリカ開発会議(TICAD)開催国でもあり、日本との外交関係は良好。国内総生産(GDP)はナイジェリアの4分の1だが、近年の経済成長率は高水準で推移しており、日系企業は40社以上進出しており、ナイジェリアの2倍程度。 今後、ケニアを中心とした東アフリカへの注目度は、更に高まっていくとみられる。 調査によると、港での通関では、コンテナを抜き打ちではなく、全て検査するため、荷崩れや盗難リスクが高い。港は月に数回システムダウンし、一時封鎖が繰り返されている。 港周辺には物流会社専用のパーキングエリアがあり、フェンス、ゲートは充実しているが、エリアは完全オープンスペースで、セキュリティー対策が弱い。 扱われる自動車のほとんどが中古車で、全て室内保管されており、自然災害リスクは限定的。一般貨物では、港のコンテナヤードは中国企業が開発しているエリアと日系企業が開発しているエリア(開発中で未使用)に分かれるが、路面環境やファシリティーは中国エリアの方が大幅に劣っている。 ただ、クレーンによる荷さばきは丁寧に行われている。コンテナは低速で運送しており、作業中の事故リスクは抑えられている。 更に、北部開発回廊の路面環境は、南アフリカと比べて非常に悪く、貨物へのダメージが懸念される状況を確認した。劣化した路面の舗装工事は部分的にしか進んでいない。舗装部分のう回路は泥や砂利の未舗装道路が多く、路面環境は最悪だという。 トラックジャック被害は、ヒアリングベース(統計データは確認中)だが、南アフリカよりも比較的少ない。また、深夜の交通事故多発を受けて深夜のトラック・バスの通行は禁止されている。 【写真=モンバサ港のゲート前では入港待ちの渋滞が慢性的に発生】