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東ト協多摩支部、職業訓練機関の設立構想 業界外から人材を確保

団体

2017/07/24 0:00

 【東京】東京都トラック協会の多摩支部(竹内政司支部長)は、会員事業者の採用活動支援を強化している。支部会員は現在、積極的にハローワークでの合同説明会の講師を務めたり、合同面接会を主催したりして、就職希望者に業界へ目を向けてもらえるよう活動を継続。こうした活動を通じて得た情報やノウハウを生かし、最終的には運送業界向けの職業訓練機関の設立を構想している。(佐々木健)  訓練機関の構想発案者の1人、フットライトコーポレーション(東京都八王子市)の亀田康一社長は「人手不足の原因は、業界の外から人が入らないこと。今は皆が同じ釣り堀に糸を垂らし、転職する人材を奪い合っている。外から釣り堀に魚を入れる方法を我々がつくりたい。最終的には、業界向けの職業訓練機関を立ち上げ、自動車運転免許の取得から企業での採用までの流れを生み出したい」と説明する。  構想では、自動車教習所や教育業界と連携した職業訓練機関が、準中型自動車免許のほか、玉掛けや小型移動式クレーン、フォークリフトといった技能資格に加え、荷扱いやマナーなどを身に着けるための教育訓練を実施。最終的に、運送事業者への就職をあっせんする。  こうした動きに教育業界も関心を寄せている。リーマン・ショックの後に大量の離職者が発生したり、失業が長期化したりする事態を受け、2009年に麻生太郎内閣(当時)が「緊急人材育成支援事業(基金訓練)」を創設。その際、全国各地の専修・各種学校や学習塾が、同事業の給付金を基にした職業訓練に参入した。しかし、雇用状況が改善したとして、11年に同事業は中止。各教育訓練機関では、学習機材の購入や教室の増設に費やした投資がだぶつき、経営上の負担になっている。  同支部が主催する合同面接会のホームページの運営などに協力する学習塾、創研塾(青梅市)の奥松研塾長は「学習塾経営者には、職業訓練に再度関与したいという要望が強い。運送業界に特化した訓練機関の設置は魅力的」と話す。  6月に開催した業界説明&企業面接会には、学習塾で組織する全国団体の幹部が視察に訪れた。また、ハローワーク立川が開催する若年失業者向けの再就職セミナーでは、支部役員が業界説明の講師を務め、提携先を増やしている段階だ。  亀田氏は「実現までのハードルは多い。業界単独では実現できない目標なので、教育関係者や行政、異業種の協力が必要になる。トラック運送の未来を切り開くため、仲間を増やしたい」と語る。 【写真=ハローワーク立川が開催する若年失業者向けの再就職セミナーで業界説明の講師を務める支部役員】





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