京ト協、府の拠点構想に参画 新事業と相乗効果へ 講習機能持つセンター整備
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2017/07/24 0:00
京都府トラック協会(荒木律也会長)は府が進める「物流拠点整備・ネットワーク構築検討会」に参画する。19日開いた理事会で意向を確認した。京ト協は2017年度事業として防災対応機能と講習・研修機能を備えた総合物流センターの整備に向けた検討を新たに盛り込んでおり、府と連携することによる相乗効果を期待する。(落合涼二) 同検討会は、京都縦貫自動車道の全線開通を機に、府内における物流の在り方を研究するために発足した。流通科学大学教授をはじめ、日本通運、ヤマトマルチチャーター(春日井善勝社長、京都市伏見区)、新日本海フェリー(入谷泰生社長、大阪市北区)、島津製作所などが参加。14年度に3回行った会合を通じ、15年3月に「京都府物流懇話会提言」をまとめた。 提言によると、ロジスティクスが企業戦略のコアになる中、府内では、京都縦貫道、舞鶴若狭自動車道、新名神高速道路といったハードインフラが充実している。このことから、京都府は環日本海諸国と京阪神、日本海側や太平洋ベルト地帯などをつなぐ日本のハブ拠点であり、ソフトインフラである物流拠点整備の適地――と分析。 これを踏まえ、高速道路網を生かして府全体でグローバル物流拠点・ネットワークを構築、企業が活動しやすい基盤産業を整備、府の産業振興に向けた物流企業の誘致、地元物流企業との連携による物流サービス機能強化を掲げた。 物流拠点・ネットワークの構築として、日本海側では、舞鶴港を起点に①モノづくり拠点と連動した医療産業物流の取り込み②高速道路無料化など、舞鶴港の活用促進③商流の拡大を支える背後地での物流拠点の整備――を想定。 太平洋側では、国内外物流の結節点「南部広域物流パーク」の形成を構想し、新名神周辺での国際物流ハブ拠点整備、物流企業の立地促進による物流拠点の集積を方針とした。 物流企業の誘致強化に向けては、市町村、不動産協会、宅地建物取引業協会との連携、物流特区制度の拡充(府南部への拡大、物流機能強化の支援)を検討。 物流サービス機能については、地元物流企業や製造、流通、IT(情報技術)などのプラットフォームを使った物流サービス構築、教育機関と連携した高度物流人材育成を考えていく。 京ト協では、15年8月に山下晃正府副知事と面談。南北にそれぞれ1カ所「国際物流ハブ拠点」を設ける構想を開き、参画の提案を受けた。京ト協事務局は「府からは、『17年度の事業計画はまだ決まっていないものの、8月には方針が固まるため、説明に行きたい』と言われている。進ちょく状況は理事会で報告していく」としている。 南部地域では、4月に新名神の城陽IC(インターチェンジ)―八幡京田辺ICが一部開通し、第二京阪道路、京奈和自動車道、京都縦貫道を使うことで、京丹後市から木津川市まで南北を直結する140キロメートルの高速道路軸が完成した。城陽IC至近では、日本郵便(横山邦男社長、東京都千代田区)が大型物流拠点を、17年度中の竣工に向けて建設している。 19日の理事会で、荒木会長は「講習・研修機能を持つ拠点は会員の希望でもある。各地で災害が起きており、いつ南海トラフ地震が発生してもおかしくはない。万一に備え、京ト協としても団結して対応していきたい」と述べた。 【写真=19日開いた理事会で意向を確認】