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若林運送/化学品輸送、ローリーに重量計搭載 1台で複数箇所へ納品 年内の実用化めざす

行政

2017/07/24 0:00

 化学品や石油製品の液体輸送を手掛ける若林運送(若林権太郎社長、東京都江戸川区)は、積載重量表示計を活用してタンクローリー1台当たりの積載効率を高め、1回の積み込みで複数箇所に配送できる仕組みの構築に取り組んでいる。無機化学品を対象とした2層式の車両での実証実験をほぼ終えた段階で、8月には1層式のローリー車両などでも実験を始める。重量計の実用化のメドが立ち次第、年内にも小口輸送サービスを始める。実現すれば、移動距離や運行車両数を大幅に減らせる。同社によると、重量計を無機化学品の輸送に用いるのは国内で先例が無いという。(沢田顕嗣)  化学品の液体輸送では、積み込み基地で液体物を積んで1件目の納品先に納めた後、再び積み込み基地に戻って2件目の納品先に向かう、という輸送形態が通例となっている。積み込む段階で液体物の分量を計測できても、納品先によっては、下ろした液体物の分量を正確に測れない場所もあるため、1回の積み込みで複数の納品先を回ることができず、積載能力10トンのタンクローリーに1トンだけ積んで配送するといったケースも多い。  一方、石油製品の場合、タンクローリー内が5層や6層に分かれている車両を使い、同時に数種類の液体物を積める上に分量も明確であるため、1回の積み込みで複数の納品先を回ることが可能。若林社長は石油製品輸送にも携わる中で、同じようなことができないか考えていたところ、重量計が搭載されているごみ収集車の存在を知り、開発元の矢崎エナジーシステム(矢﨑航社長、東京都港区)と2016年10月から、液体輸送用の重量計の共同開発に着手した。  無機化学品を対象とした2層式のローリー車両でテストしたところ、車両により計測値に誤差が生じたため、現時点での導入は困難とみているが、8月をメドに1層式のローリー車両とISOタンクコンテナ積載トレーラで実証実験を相次ぎ実施する。  若林氏は「車両の到着時間を納品先に知らせるアプリの開発にも取り組んでおり、可能な限り早期に本格運用につなげたい」とし、早ければ年内の実用化を目指している。実現すれば、1日で片道100キロの納品先3件に配送した場合、往復600キロだった総移動距離を一気に短くすることが可能となり、大幅な輸送効率の改善を期待できる。  運行車両数やコストの削減にもつながるため、こうしたメリットを十分に生かし、既存の取引先への提案はもちろん、新規荷主開拓の武器にしたい考え。  更に、現在は納品先が液体物の残量を確認し、若林運送に納入を発注するという取引になっている。顧客の発注業務や在庫管理の負担を省くため、将来的には化学品や石油製品を同社が適と判断したタイミングでタンクに補充するサービスを構想。付加価値を上げて顧客の利便性を高め、それを運賃や料金の引き上げの交渉材料にすることも見据えている。





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