広島県、物流生産性向上を支援 ワークショップで倉庫見学&意見交換 来年度は別メンバーで開催
行政
2017/07/20 0:00
広島県は5~7月にかけて、県内企業を対象に「物流業生産性向上ワークショップ(WS)」を初めて実施した。参加企業が互いに倉庫を見学し、他社の業務を参考にするとともに意見を出し合い、それぞれが改善活動を進めていくもの。物流の生産性向上が全国的な課題に挙げられているが、県単位で支援事業に取り組むケースは非常に珍しく、県では今後もフォローしていく方針だ。(矢野孝明) 商工労働局イノベーション推進チームが企画した。もともと倉庫を持つ卸・小売業向けだったが、「流通や物流の垣根が無くなっている」と判断し、物流企業にも対象を拡大。卸・小売2社のほか、田中運輸倉庫(田中一範社長、広島市西区)、脇地運送(金子武司社長、同)、新生倉庫運輸(石井宏社長、南区)、広島運輸(田中保昭社長、同)の物流4社がメンバーとなった。 6社の経営者や実務責任者が、5~7月の各月2日間、計6日間で、各社の倉庫を見学。これを基にして、課題や解決策など意見交換しながら、それぞれの企業が自社の改善目標や計画を策定した。 日本生産性本部の高田晴弘・首席経営コンサルタントが講師となり、見学の同行や討議の場などでサポート。見学以外のプログラムの会場は広島市中小企業会館で、高田氏は生産性向上について事例を交えた講義も行った。 最終月となる7月は11、12の両日に実施し、初日は各社が改善活動の経過を発表。主に、庫内の5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)運動に関するものや、作業効率アップの方法が報告された。 また、別の具体例として、トラックの到着時間が遅れる場合はドライバーに事前連絡を求め、遅延状況を構内放送によって共有するルールを設定。手待ち時間解消の一策として、作業の進行状況をホワイトボードによって可視化するアイデアや、出荷量に連動した人員配置などの案もあった。 同チームの長谷川充担当課長は「他社の倉庫見学は参考になることが多く、同業者の新たな横の連携も生まれた。プログラムは終了したが、自主的に改善活動を続けて欲しい。今後も定期的に参加企業を訪問してフォローし、年度末には総括も検討している」と説明。18年度には別のメンバーによるWSも視野に入れている。 【写真=改善活動について意見を出し合った(7月11日)】