国交省/港湾政策、新たな産業地点を形成 製造と輸送 一体でブランド化 渋滞や災害リスク軽減
行政
2017/07/10 0:00
国土交通省は、港湾の中長期的な政策に、港湾後背地に物流を中心とする新たな産業を集積させる方針を盛り込む。高度な流通加工機能を持つとともに、信頼性の高い製造業の「日本ブランド」と一体となった価値を生み出すエリアを形成し、輸出拡大につなげる。3日、交通政策審議会港湾分科会(小林潔司分科会長、京都大学経営管理大学院教授)で、中間取りまとめの素案として示した。(土屋太朗) 港湾政策に特化した中長期的な方針は1995年以来、策定していない。2017年度中の取りまとめに向け、今後は同分科会の委員で構成する懇談会を計画。テーマに①日本海沿岸地域の海上輸送網の拡充策②農林水産物輸出の促進策③フェリーなど内航航路の活用・拡充策――などを予定しており、関係者へのヒアリングや意見交換を行う。 今回の素案は、政策の方向性として「グローバルバリューチェーンを支える海上輸送網の構築」「持続可能で新たな価値を創造する国内物流体系の構築」など8本の柱で構成している。 このうち、国内物流体系の構築では「製造」と「輸送」が一体となったブランド化を実現し、新たな価値を生み出す産業地点にすることを強調。臨海部の再編や、用地を安く提供することによる物流施設の再配置・更新を促す必要性も示した。こうした取り組みを通じて渋滞や災害リスクを軽減させるのに加え、高度な流通加工機能を備えることで従業員が働きやすい環境を整える。 また、近年、フェリーやRORO船のリプレースが盛んであることにも対応。トラックやシャシーのオペレーションを効率化する情報通信技術(ICT)を備えた「高規格ユニットターミナル」としての展開を図り、海上輸送のモーダルシフトや共同輸送を促進する。 海上輸送網の構築では、国内主要港から東南アジアへの直航サービスの拡充を推進。国際コンテナ戦略港湾の機能強化を通じ、欧米港湾との基幹航路の維持・拡大につなげる。 更に、港湾物流に関するあらゆる情報を活用して、ターミナル運営の効率化を図る「AI(人工知能)ターミナル」の実現なども盛り込んだ。 【写真=交通政策審議会港湾分科会で、中間取りまとめの素案として示す】