TRC、物流ビルB棟建て替え 免震&歩車分離を実現 安全性と効率性を両立
産業
2017/07/06 0:00
東京流通センター(TRC、小野真路社長、東京都大田区)は6月30日、物流ビルB棟(同区)の建て替えを完了し、竣工式を行った。1973年建設の旧B棟を解体して、跡地に免震構造6階建ての都市型施設を新設。外廊下(歩廊)を設けて完全歩車分離を実現するなど、安全性の確保と効率性を両立させる新しいアイデアを取り入れた。(吉田英行) 大林組が設計・施工し、三菱地所設計(林総一郎社長、千代田区)が設計・工事を監理監修した。延べ床面積17万1300平方メートルで、ランプウェー2基を備える。基本賃貸区画は1400平方メートルで、1フロアにつき小530平方メートルから大2万2千平方メートルまでのフレキシブルな利用が可能。 館内は2千人が働くことを想定し、建物にマンションのような歩廊を設け、全区画への歩行者と車両の動線を完全に分離。歩廊の上にはエアコン室外機などを置く設備バルコニーを設け、テナントによる空調工事をしやすくした。物流施設での歩廊の採用は、国内では珍しい。 防災対策の一環として免震構造を採用。就業環境にも配慮し、TRC子会社が運営する飲食店を設けたほか、南北2カ所にテーマやデザインの異なる休憩スペースを設けた。日本政策投資銀行(DBJ、柳正憲社長、千代田区)の「DBJグリーンビルディング認証」で、高評価の五つ星も取得している。 竣工時点の入居率は、契約ベースで6割強。テナントの業種は食品、物流、アパレル、建設資材、レンタル・リース関係など幅広い。 また、事務所やショールームの併設に加え、加工拠点や機器のメンテナンスセンターとして使うテナントもあり、保管だけでなく多様な使い方をしているのが特徴。 竣工式で、小野社長は「創立50周年の記念すべき年に新棟ができた。駅前という立地と、『街』を形成していることがTRCの特徴。従業員の確保、通勤、福利厚生などの面で、極めて利便性が高い。物流ビルに隣接する展示場とタイアップして、価値を上げることも考えたい」と述べた。 【写真=竣工時点の入居率は、契約ベースで6割強】