尾張陸運/社内保育所設置、スタッフ募集に効果 社会福祉法人設立を視野
物流企業
2017/07/03 0:00
尾張陸運(伊藤敏彦社長、愛知県尾張旭市)では、商社系のピッキング作業のスタッフを20人募集したところ、名古屋東物流センター(愛知県日進市)内に設けた社内保育所が奏功し、入社希望者が定員越えするほどの効果を生んでいる。福利厚生の一環として従業員は無料で利用できるが、今後は、グループで運営する介護事業と合わせ、障がい者雇用を含む総合的な社会福祉法人の設立も視野に入れている。(梅本誠治) 社内保育所は「ひまわり子ども園」として、6月15日から、1、2歳児の受け入れをはじめた。開所に当たっては、内閣府の企業主導型保育事業における法人税拠出型助成制度を活用。安静室、職員室、キッチン、トイレ、非常階段を備え、保育士の資格を持つ従業員数の要件を満たしたことにより、最大19人まで受け入れられる。 名称は、本社を置く尾張旭市のイメージキャラクターが、ヒマワリをモチーフにしていることから命名。名付け親で保育士と幼稚園教諭の資格を持つ松原健太氏(29)は現在、ドライバーと園長の二足のわらじで活躍する。「もともと、園児を送迎するバスの免許を持っていたことがドライバーとして入社するきっかけだった。伊藤社長は、保育所開設に必要な資格に注目していたかも知れない」と笑う。 施設の設備は、松原氏と共に、正社員として働く西川梢さん、保育士の資格を持つパート従業員が集まり、様々な保育園の情報を持ち寄って考えた。物流センターの一角に開園したことでトラックの出入りが多く、外で遊ぶことは難しいため、できる限り自然の風合いを採り入れ、机や椅子、遊具は木製を選んだ。 子供と接する機会を持つため、ドライバーとして働くのは週の半分にとどまる。松原氏は「安全への留意が一番重要なため、外で遊ばせられない問題もある。試行錯誤しながら3~5歳児も受け入れられる施設にしていきたい」と意欲を示す。 ホームページに保育所や社宅などの動画を掲載、企業のイメージアップを図り、一年掛けて開園準備を進めた伊藤社長の次男、光彦氏は「助成を受ける手続きは大変だったが、資格を持った従業員や人との出会いに助けられた。保育所運営も含む社会福祉法人をつくり、行政が望むことを手伝う形で事業を発展させたい」と未来像を描く。 【写真=ドライバー兼業の松原園長(左)と保育所の正社員として働く西川さん】