徳島道/全線4車線化工事、地方公共団体が予算投入 知事が制度創設を提案 豊予ルート利用増に対応
行政
2017/06/29 0:00
徳島県の飯泉嘉門知事は23日、フェリーによるトラック航送をはさんで京阪神と東九州を結ぶ、大分―愛媛の「豊予ルート」の利用が「トラックドライバーの労働時間改善の観点から拡大している」として、徳島自動車道の全線4車線化を加速させるための対策・手法を国土交通省などに提案した。具体的には、地方公共団体が4車線化工事に予算投入できる制度の創設などを求めた。(田中信也) 同日、社会資本整備審議会道路分科会の国土幹線道路部会(寺島実郎部会長、日本総合研究所会長)が行った高速道路の安全・安心に関するヒアリングで、高速道路ネットワークの早期整備と強化に向けた改善策として示した。 福岡から鹿児島までのネットワークを形成する東九州自動車道の完成や、トラックドライバーの労働時間改善に向けたモーダルシフトを背景に、京阪神方面から東九州までの輸送は、陸路を使った「関門ルート」から、途中でフェリーを利用して四国を横断する豊予ルートへのシフトが進んでいる。 これについて、飯泉氏は「高松自動車道経由よりも13.8キロ短い徳島道に注目が集まっている」と説明。東京―徳島―北九州を運航する「オーシャン東九フェリー」の大型化により、徳島道の大型車通行量が3割増加するなど「新たな交通体系が誕生した」と強調した。 しかし、徳島道(106.2キロ)は、片側1車線で整備された暫定2車線区間が8割を占める。悪天候や事故などで片側対面通行となる時間も全国平均を大きく上回っており、「円滑な輸送や大規模災害時の緊急輸送道路としての機能に不安がある」と訴えた。 暫定2車線での交通増大に対応するため、国交省はインターチェンジ付近などに付加車線を設置する方針を打ち出しているが、飯泉氏は「(国の方針に基づく付加車線と)連続的に付加車線を設置・追加」することを提案。また、高速道路中央にワイヤロープを設置する国の緊急対策に対しては「徳島道のうち橋りょう、トンネルが多い区間を『実証フィールド』として活用する」ことを提起した。 更に、4車線化工事の早期着手に向け、地方公共団体が予算投入できる制度の創設を主張。有料道路区間を整備する場合、国が無料の道路として整備する「新直轄国道並みの4分の1」、新直轄区間のケースでは「通常改築工事並みの4分の1」を負担する仕組みを提唱した。 このほか、ミッシングリンク(細切れ区間)が大半を占める沿岸部の高速道路ネットワーク(海部道路など)についても、沿線への工場誘致を進めるとともに、巨大地震発生時の「陸の防潮堤」や津波避難場所として早期に整備するよう強調した。 委員との質疑応答では、寺島部会長が「ロジスティクスの働き方改革として興味深い」と指摘。その上で、宅配便など種類別の詳細なフェリー利用のデータを提示するよう求めた。 ヒアリングでは、高速道路会社(NEXCO)を代表し、東日本高速道路(東京都千代田区)の広瀬博社長が暫定2車線の課題解消策、大型車の休憩場所確保に向けた駐車マス予約システムの導入や一時退出の社会実験、新東名高速道路でのダブル連結トラックや無人隊列走行といった実験・検討の状況などを報告した。 【写真=高速道路ネットの早期整備・強化に向けた改善策として示す】