ワコン/クラウド型システム、保冷箱開けず温度確認 スマホで簡単 大量データ長期保存
産業
2017/06/26 0:00
梱包事業などを手掛けるワコン(西田耕平社長、和歌山県紀の川市)は21日、スマートフォン(スマホ)を使って医薬品輸送時の温度管理を簡単にするクラウド型システムの販売を始めた。保冷ボックスに専用の温度ロガー(記録計)を取り付け、スマホでデータを確認する。ボックスを開けずに温度が分かるのに加え、設定温度から逸脱した場合の通知機能もあるため、非常時にも迅速に対応できる。(土屋太朗) 開発した「TempJohn(テンプジョン)」は、ブルートゥースの通信機能を持ち、スマホなどのタブレット(多機能携帯端末)に導入するシステム。取り付けたロガーの近くで専用アプリを立ち上げることで、温度記録を読み込む。 これまでは、温度記録を回収するには輸送箱を開けてロガーを確認する必要があった。新システムでは、ボックスを開けずに温度や湿度の記録をデータ化し、クラウドサーバーに保存。利用者はインターネット環境があれば、データを確認することができるので、品質維持の強化が図れる。大量のデータを長期間保存するのにも役立つ。 また、温度が逸脱した場合には通知するため、温度変化のあったボックスの早期回収といった対策が迅速に打てる。航空輸送での活用を見込み、ブルートゥースの電波強度を抑えたロガーも用意した。 更に、クラウドサーバーにはロガーごとの校正証明書も保存されているため、必要な時に証明書を出力することが可能になる。 1年後をメドに、温度に加えて衝撃や照度なども記録できるよう機能強化を図る。 同日の記者会見で、西田社長は「(医薬品流通の国際基準の)GDPの日本版のガイドラインの検討が進められるなど、医薬品輸送のグローバルスタンダードの波が日本にも来ている」と説明。発売初年度は、1年間で10社の実績を残したい考えを示した。 【写真=「医薬品輸送のグローバルスタンダードの波が日本にも来ている」と西田社長】