神戸市、強毒「ヒアリ」港で発見 地元ト協が会員に注意喚起
行政
2017/06/22 0:00
強い毒を持つ「ヒアリ」が神戸市中央区のポートアイランド(PI)のコンテナヤードで確認されたことを受け、神戸市は18日、久元喜造市長を本部長とする対策本部を設置した。目視で100匹ほど確認されたが、19日時点で被害報告は無かった。ただ、まだ潜んでいる可能性があるとして、環境省などとともに調査や駆除を継続。また、地元トラック協会の海上コンテナ部会や阪神港海上コンテナ協会(小西保美会長)では、ファクスなどでメンバーに注意を促している。(小菓史和、土屋太朗) ヒアリは南米原産で、強い毒を持つため、刺されるとショック症状を起こすことがある。ヒアリが見つかったコンテナは、5月15日に中国の南沙港で船積みされ、20日に神戸港のコンテナヤード(PC18)へ陸揚げ後、25日まで留置されていた。 26日に尼崎市に輸送され、通関業者が開封した際にアリを発見。近畿地方環境事務所で調査したところ、ヒアリと判明した。当該コンテナは、すぐにくん蒸消毒処理され、ヒアリは全て死滅したことが確認された。 しかし、6月16日にはPC18でもアリを発見。当該コンテナが一時保管されていたポートアイランドのヤードを調査した結果、アスファルトの亀裂部分などで100匹ほど見つかった。環境省は「目視による確認のため、見えていない部分にまだ潜んでいる可能性がある」(自然環境局)として、19日現在も調査を続けている。 一方、神戸市も対策本部を設置するなど本格的な対応に乗り出した。18日には、今後の対応策としてPC18内での調査や徹底駆除、PI全域での生息調査を進める方針を表明。関係事業者には注意喚起するとともに、情報提供を求めている。 更に、テレホンセンターを開設して相談体制を確立したほか、ホームページで情報提供に努める。もし刺された場合、20~30分程度は安静にして体調に変化が無いか注意するとともに、容態が急変した時は、すぐに医療機関で受診するよう注意を呼び掛けている。 こうした対応を受け、大阪府トラック協会海上コンテナ部会(山口与嗣雄部会長)と兵庫県トラック協会海上コンテナ部会(佐賀里隆之部会長)、阪神港海上コンテナ協会では、ファクスなどでメンバーに注意喚起を行った。 阪神港海上コンテナ協会の小西会長は19日、本紙の取材に応じ、「ヒアリによる被害は報告されていない」とした上で、「港のコンテナヤードとその周辺で、様々な外来動植物が見られるということは、あまり知られていない。中には非常に危険なものや強い毒を持つものもある。ただし、新たな生物が見つかったとしても、それ自体はさほど驚くことではない」と指摘。 その一方で、「海コン事業者や港運事業者は以前から、こうしたリスクと常に隣り合わせで仕事をしてきた。一過性の話題で終わらせることなく、様々なリスクや問題を抱えながら日本の市民生活、経済活動を支える海コン輸送や港運の現場に、一般市民にはもっと目を向けてもらいたい」と強調した。 【写真=ヒアリの徹底駆除に向けトラップを仕掛ける=環境省提供】