国交省、コンテナ物流を効率化 トラック&船舶の待機時間解消へ
行政
2017/06/22 0:00
国土交通省は15日、港湾でのコンテナ物流の生産性向上に向け、「AI(人工知能)コンテナターミナル」構想を打ち出した。AIやIoT(モノのインターネット)、自動化を組み合わせ、出荷などの情報を発信・制御することで荷物の積み下ろしを効率化するとともに、入出港する船舶やゲートでのトラックの待機時間を解消する。まずは京浜港(東京・川崎・横浜港)、阪神港(大阪・神戸港)での実用化を想定。18年度から取り組みに着手する。(田中信也) 同日開かれた国際コンテナ戦略港湾政策推進委員会で、港湾政策の今後の取り組みとして提示。第4次産業革命(Society5.0)の中核をなすIoT、AIや自動化など最先端技術が世界的に拡大していることから、港湾政策にも取り入れることとした。 AIターミナル構想は、熟練技能者の荷役能力とAIを組み合わせることで、ターミナル全体の生産性を飛躍的に向上させる。日本の港湾の国際競争力強化につなげるとともに、ターミナル運営の海外展開といったインフラ輸出や海外からの集貨を促すことで、力強い経済成長を実現することが目的だ。 コンテナ物流では、ゲート処理の効率化、ドライバーの待機時間削減に向け、①IoTを活用したコンテナ②AIによる車両情報の自動識別③数万個のコンテナ・荷役機械の動きの最適化④コンテナのダメージの自動判別⑤自動搬送・隊列走行⑥荷役機械の遠隔操作――などを活用の方向性として想定している。 貨物の入出荷や道路の渋滞、船舶の到着時間といった情報をビッグデータとして自動的に収集。AIの学習能力(ディープラーニング)を生かし、荷役や荷物を搬送する順番を割り出して一元的にコントロールする。これにより、港湾に流入するトラックや船舶の待機時間を解消。更に、船舶への荷役時間の大幅短縮、荷役機械の遠隔化・自動化と組み合わせることで、荷物の積み込みの高効率化を実現できる――としている。 まずは京浜港、阪神港での実用化を想定。2016~18年度の3カ年で進めている「国際戦略港湾コンテナターミナル高度化実証事業」の枠組みで、18年度からAIを使った効率化の取り組みに着手する見通しだ。 【写真=荷物の積み下ろしを効率化(東京港)】