トライアル寄港、横須賀市が助成 久里浜―細島航路 来月まで貨物募集
行政
2017/06/19 0:00
神奈川県横須賀市では、7月10日に久里浜港(横須賀市)にトライアル寄港する細島港(宮崎県日向市)行き貨物船に積むシャシー貨物を、同月3日まで募集している。市などが高6万円を助成。トラックドライバー不足対策に有効な手段として、物流事業者の利用を見込んでいる。 寄港するのは、大王海運(玉井一郎社長、東京都千代田区)のRORO船「はる丸」。10日午前11時に千葉中央港(千葉市中央区)を出港し、同日午後2~4時に久里浜港に寄港。シャシー貨物を積み、堺泉北港(大阪府泉大津市)での積み替えを経て、13日午後1時に細島港へ入港する。 横須賀、日向の両市は久里浜港―細島港の定期貨物航路誘致に向け、2013年から連携して活動を開始。17年3月には協力関係を強化することで合意し、久里浜港へのトライアル寄港につなげた。募集しているのは細島港向けのシャシー貨物30台分で、主に機械部品や工業製品の原材料などを見込んでいる。貨物の荷主または貨物を扱う物流事業者を対象に、助成金を支給。助成額は、出荷元が県外の場合6万円、県内は5万円となる。 トライアル寄港では、久里浜港の使い勝手や災害時の物流リスク分散といったメリットを検証。18年度には川崎近海汽船の細島港行き航路もトライアル寄港する予定で、両市は早ければ19年度中にも週2便程度の定期航路開設につなげたい考えだ。 耐震強化岸壁を整備した里浜港は東京湾の入り口に位置し、九州方面からは船舶で混雑する浦賀水道を通らずに入港できるのが特徴。横浜横須賀道路・佐原インターチェンジから5キロと近く、横浜市中心部からの所要時間は45分、厚木市からは60分とアクセスに恵まれている。 一方、細島港は東九州の中央部に位置。宮崎県全域をカバーできるほか、九州中央自動車道が全線開通すれば、熊本県へのアクセスも良好になる。細島からの上り荷は農産物や工業製品などを中心に需要が多いが、下り荷の確保が課題となっている。 横須賀市港湾部の笠原利幸港湾企画課長(51)は「県内から東京、横浜港へ向かう主要道路・高速道路に比べ、久里浜方面は比較的空いており、港湾周辺の混雑も無いため、ドライバーのストレスが少ない。ドライバー不足が深刻化する中、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)沿線から九州方面への長距離輸送をシフトする手段として、利用を見込んでいる。実際に使ってもらい、費用面の効果や使い勝手に関する意見を聞きたい」と話している。(吉田英行) 【写真=耐震岸壁を整備した久里浜港(横須賀市港湾部提供)】