セントレア、国際貨物用が堅調に推移 迅速さ重視で物流効率化
荷主
2017/06/08 0:00
中部国際空港(セントレア、愛知県常滑市)の国際貨物取扱量が堅調に推移している。米ポーラーエアカーゴとANAカーゴ(外山俊明社長、東京都港区)の増便によるスペース増加に加え、行政・地域と連携したセントレア活用の取り組み、物流効率化を考慮した設計、名古屋圏の経済回復などが寄与。リーマン・ショック以降、減少傾向が続き、2012年度に10万8千トンまで落ち込んだ取扱量は、16年度には16万5千トンまで回復した。17年4月も前年同月比0.6%増の1万4606トンとなっており順調に実績を伸ばしている。(井内亨) 地元の貨物を輸出する際、関西や成田からではなく、セントレア発着便を積極的に利用してもらおうと、「フライ・セントレア・カーゴ」を展開している。トラックの共同輸送を支援する事業や、農水産物・食品の輸出について、他の空港からの切り替えを支援・促進する事業などを実施。中部地方の活性化につなげようと活動している。また、中部運輸局主導で、地元産の農林水産品や食品をセントレアから輸出する実証実験が16年度末にスタートした。 航空貨物を扱う際、「スピーディーさが重要」と位置付け、セントレア内の設備などは物流効率化を考慮。トラック待機場を上屋の目の前に設置するとともに、フレーターも上屋の目の前に止められるようにしたことで、モノの移動を短距離にした。また、トラックの荷さばきスペースに20メートルの庇(ひさし)を設けるなど、荷役作業の快適性にも配慮した。 名古屋圏におけるインフラ整備や設備投資が進み、経済は好調に推移。同圏の経済を支えてきた自動車産業の市場規模も、リーマン・ショックで一度大きく落ち込んだものの、ここ数年で回復してきている。 更に、新東名高速道路や新名神高速道路、東海環状自動車道などの道路網整備に加え、27年にリニア中央新幹線開通するなど、インフラ整備が着実に進行。セントレアでの旅客発着枠の増加の影響もあり、訪日外国人、国内旅行者は増加しており、新規路線を誘致しやすくなってきた。 こうした状況を見据え、セントレア内でもホテル増築に着手。客室数を1500室から3千室に倍増させる計画で、土地の有効活用に取り組む。滑走路の本数を2本に増やして欲しい――という声も上がっており、中期経営戦略期間の15~19年度を「第二の開港期」と位置付け、更なる成長を目指す。 営業推進本部の中津拓也・貨物営業グループリーダーは「路線誘致活動などを通じて、供給量を増やす必要がある。直行便が無くて運べないといった問題が解消されれば、貨物取扱量も増えるだろう」と話している。 【写真=15~19年度を「第二の開港期」と位置付け、更なる成長を目指す】