中国視察団、日本の運行管理を学ぶ 運輸安全マネに注目
団体
2017/05/15 0:00
中国・深圳市などを拠点とする運送事業者18社と中国太平洋財産保険深圳分公司の計27人で構成する視察団は4月21日までの6日間、大手物流事業者の首都圏の支店や研修センター、全日本トラック協会(星野良三会長)などを訪問し、安全運行に向けた取り組みを学んだ。 視察団は太平洋保険深圳分公司の周厚鈥総経理を団長とし、同社と自動車リスクマネジメントの顧問契約を結び、深圳市にも現地法人を持つRTSジャパン(東京都足立区)の松沢淳社長が企画した。 宅配や海上コンテナ輸送などに携わっている運送事業者が訪日。視察の目的について、周総経理は「日本の優れた安全運行管理を学ぶことで、事故を減らすとともに、社会貢献がしたい」と説明した。 中国では、日本の運送事業者が行っているアルコールチェックを含め、業務前点呼がまだ行われていない。視察時の様子について、周氏は「乗車前に行うドライバーの点呼、車両点検を高く評価し、(視察に参加した事業者の中に)試行実施に積極的な人もいた。運輸安全マネジメントも注目されていた」と紹介。また、「今回学んだことを中国でのリスク管理や安全意識の育成に結び付け、安全管理体制を構築したい」と述べた。 中国でもドライブレコーダー(DR)やタコグラフなどの機器が販売されているものの、これらを使って、安全を確保するというソフト面が弱い。ここ15年ほどで宅配需要が急増し、運送業界における安全対策が追いついていない状況だという。 周氏は「日本のドライバー、管理者は中国と違い、事故防止意識が高く、細かいところまできっちりと分析・管理している。安全マナーやルールは守るという素地も異なる。日中友好の懸け橋になれればうれしい」と望んでいる。 太平洋保険は1991年創業の中国初の株式保険会社で、2016年の売り上げは4兆3095億円)。深圳分公司は、クライアント志向の安全管理システム構築を目的に、微信(中国版LINE=無料対話アプリ)を活用した自動車保険の保険金請求システムにより保険金支払期間を大幅に短縮するなど、新しい技術やツールの開発に努めている。 松沢氏はNKSJリスクマネジメント社(現SOMPOリスケアマネジメント社)で自動車リスクコンサルティング本部長を務め、13年にRTSジャパンを創業。中国での安全マネジメントを中心に業務を推進している。(高橋朋宏) 【写真=記念撮影に納まる参加者(全ト協)】