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国交省/新事業用車安全プラン、新技術&高齢者事故防止 5つの柱 大筋で合意

行政

2017/05/01 0:00

 国土交通省は4月27日、「事業用自動車総合安全プラン2009」に代わる新プランの策定に向けた検討に着手した。重点施策については「運送事業者、利用者、行政による安全体制の構築」や「自動運転をはじめとした新技術の開発・利用・普及の促進」「高齢者事故防止対策」など五つの柱を軸に、個別の施策を盛り込んでいく方向性を固めた。(田中信也)  2020年度を目標年度とする新プランは、安全プラン09に定めた「交通事故死者数の半減」「飲酒運転ゼロ」といった目標を最終年度(18年度)までに達成困難なことや、自動運転をはじめとした先進安全技術の普及・進展、健康・過労に起因する事故の増加など社会情勢の変化に対応する必要があることから前倒しで策定し、7月からスタートさせる。  「事業用自動車総合安全プラン2009フォローアップ会議」(野尻俊明座長、流通経済大学学長)を発展的に解消し、新たに設置する「事業用自動車にかかる総合対策検討委員会」(野尻委員長)で策定する。ただし、具体的な検討作業は「自動車運送事業にかかる交通事故対策検討会」(酒井一博座長、大原記念労働科学研究所所長)が担当し、総合対策検討委に提案する形で進めていく。  27日に開催した交通事故対策検討会の会合では、新プランの重点施策案を事務局の自動車局安全政策課が提示し、協議した。  プラン09は「安全体質の確立」「コンプライアンスの徹底」など六つの柱で構成。一方、新プランでは、技術の急速な進歩、超高齢化社会といった情勢を踏まえ、①事業者・利用者・行政の連携による安全トライアングル(安全体制)の構築②自動運転をはじめとする新技術の開発・利用・普及の促進③高齢者事故の防止対策④統計情報の分析等に基づく特徴的な事故などへの対応⑤道路交通環境の改善――を新たな柱として打ち出した。  柱建てについては、大筋で合意。ただ、安全体制の構築に関しては「『事業者・利用者・行政の連携』では、各者の取り組みが含まれていないようにみえるので、『(3者が)それぞれの立場で強化の上、連携』とすべき」との意見があったため、次回会合で文言を修正する。  五つの柱の下に明記する具体的施策は次回以降に検討するが、今回の会合では具体例を列挙。安全体制の構築では、行政保有情報を活用・分析した監査の重点化、働き方改革の実現に向けた手待ち時間削減を図るための荷主の協力を挙げた。また、新技術の促進では自動運転技術の開発促進と課題整理、IT(情報技術)点呼の更なる活用、高齢者事故防止対策としては高齢運転者に配慮した職場環境づくりなどを例示した。  これに対し、複数の委員が「ドライバー教育は何よりも重要なのに、重点施策として挙がっていない」と指摘。事務局は「安全体制構築のメニューの一つとして盛り込む方針」と説明した。そのほか、「地域性を踏まえた施策も盛り込むべき」との意見が上がった。  一方、数値目標は重点施策を固めた上で定める方針のため、今回は検討の俎上(そじょう)に載らなかった。ただ、プラン09で定めた事故発生件数・死者数の半減、飲酒運転ゼロの目標は引き続き踏襲する方針。このうち事故件数・死者数については、「半減」ではなく、「件数」で設定する可能性が高いとみられる。  今回の協議結果は、大型連休明けに立ち上げる総合安全対策検討委に報告。了承が得られれば、今月下旬と6月下旬に開催予定の交通事故対策検討会で具体的施策、数値目標などの検討を進め、最終案を作成する。新プランは、6月下旬に開く総合安全対策検討委の2回目の会合で決定する見通しだ。 【写真=交通事故対策検討会で新プランの重点施策案を提示】





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