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青森県/鉄道・船舶利用モデル実験、品質問題なし 商用視野 運賃上昇が課題

行政

2017/04/06 0:00

 青森県が県産品の輸送手段適化を目指して2016年度に取り組んだ3回の実験で、いずれもリードタイムはトラックより1日長くなるものの、品質には問題無いことが分かった。運賃などの課題はあるが、荷主からも一定の評価を得ており、計画的な輸送スケジュールを確保することができれば、ビジネスベースでの展開も視野に入ってきそうだ。  長距離トラックのドライバーが不足している現状を受け、鉄道や船舶を利用する新たな輸送モデルを提案するのが目的で、トライアルを実施。3月21日に開いた有識者や運送事業者などで組織する検討協議会で、結果を検証した。  10月と2月に、弘前市のリンゴを盛岡から鉄道で運ぶ実証実験に取り組んだ。従来は、弘前からトラックで直接首都圏まで輸送していたが、10月の実験では、大型車2台で盛岡まで運び、40フィートコンテナに積み替えて盛岡貨物ターミナル駅から東京貨物ターミナル駅へ運搬。その後、東京港を経て、台湾へ輸出した。  2月には、トレーラ1台で弘前市まで40フィートコンテナを回送してリンゴを出荷。盛岡からは同様のルートで台湾へと輸出した。この方法はドライバーが1人で済むことから、輸送費は安くあがる。ただ、コンテナの後部からしか積み込めないため、手間が掛かった。  どちらの実験も良質な状態でリンゴが現地に届いたことで関係者から好評だったが、運賃はトラックによる直送の方が安かった。ただ、運転者不足が年々顕著になる中、現状の運賃水準のまま今後も推移していく保証は無く、将来的には有効な手段となる可能性がある。  12月には、八戸港からRORO船を利用して中京圏へ輸送する試験を行った。五戸町からナガイモ、ニンニクなどの農産品をトレーラで八戸港まで運び、RORO船で名古屋港へ運搬。届け先で品質を確認したところ、トラック輸送と同レベルを維持できていた。また、運賃にも大きな差が生じなかったことから、定期的な出荷を見込める荷物に関しては、期待が持てる結果となった。  こうした検証を踏まえ、17年度はパンフレットを活用した輸送モデルのPRに力を入れる。更に、16年度は行わなかったコンテナ船による輸送の可能性も探る。リードタイムが長くなっても、品質が劣化しない技術を模索し、農水産品の輸出促進につなげていく。  県土整備部の千葉雄文副参事(3月時点)は「ドライバー不足が問題になり、14年にトライアル輸送の必要性を感じて取り組みを進めてきた。当時はまだ青森への影響は少ないと考えていたが、我々の想像以上のスピードで物流危機が迫っている。このタイミングで実験を行った意義は大きい」と話している。(今松大) 【写真=弘前市まで40㌳フィートコンテナを回送してリンゴを出荷=青森県県土整備部提供】





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