物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

東京港埠頭、新車両待機場の運用を中断 システムトラブル 原因特定できず

産業

2017/04/04 0:00

 大井ふ頭コンテナターミナルに開設した車両待機場のシステムトラブルで、東京港埠頭(平野裕司社長、東京都江東区)は3月31日、翌4月1日からの運用中断を決定した。トライアルオープン初日の3月29日から管理システムに不具合が発生。システムの復旧まで運用を見合わせる方針で、従来の待機導線に戻るよう要請している。ドレージ業者からは、今後の運用について協議の場を求める声が上がっている。(佐々木健)  開設した待機場は、A、Bのニつに分割された敷地面積6.8ヘクタールのヤードに、合計500台のドレージ車両を待機させるもの。ドライバーごとに発行したドライバーズカードと次世代型自動料金収受システム「ETC2.0」を使い、待機場とターミナルの双方で個別車両の作業を把握し、進行状況を「見える化」して効率的な運用を目指す野心的なシステムとして準備してきた。  海上コンテナのドレージ業者で組織する、東京都トラック協会の海上コンテナ専門部会(種田光男部会長)がまとめた29日以降の状況によると、①待機場に入れず、(入ったら)出られない②車両がいないため一部のターミナルでは作業待ちが発生③待機場A・Bの入退場の車両導線が複雑化④待機場に入った車両への配車指示の変更が不能――となっており、大幅な作業の遅延が発生した。  29日は周辺道路まで車両があふれ出し、渋滞が発生したが、30日からは東京港埠頭が作業員を増員。待機場内へ収容は出来たが、そこから車両が動けなくなった。空バンの搬出が出来ないためシャシーが空かず、実入りコンテナを搬入できない悪循環に陥り、輸出作業の遅延など影響が拡大した。  東京港埠頭では3日時点で、システムトラブルの原因を特定できていない。待機場の滞留については、「一度並んでもらった以上、一斉退場させるのは無責任。そんなことをすれば事故の原因になる。交通秩序を維持するためにも、不可欠な措置だった」と説明している。  システムが想定通りに稼働すれば、公道での待機が無くなり、トイレなど衛生的な施設の整った環境をドライバーに提供でき、ターミナルが見える化されることで運行管理者も効率的な配車が可能になる――。こうした理想があった一方、運用面では「準備不足」「ドレージ業者との情報交換不足」との指摘も出ている。  東ト協海コン専門部会は2016年10月以降、新待機場について東京港埠頭と意見交換を実施。改善要望を出していたが、これまで反映されずに来た。  種田部会長は「遅延は、ターミナルと待機場の連携不足が原因だろう。システムトラブルから始まったが、システムが完全でも同様のトラブルが出ることを我々は恐れている。待機場を再開するなら、東京港埠頭とターミナル、ドレージ業者で実作業に関する情報交換が必要だ」と協議を求めている。 【写真=閉ざされている待機場Aの門】





本紙ピックアップ

暫定税率廃止法が成立

 ガソリン税(揮発油税)の暫定税率廃止法が11月28日の参院本会議で可決、成立した。ガソリン税での12月31日の廃止を規定するとともに、軽油引取税でも2026年4月1日に廃止することや、軽油の旧暫定税率廃止に当たって運輸…

農水省「備蓄米放出」、倉庫会社に保管料支援

 農林水産省は、政府備蓄米の放出に伴い本来の保管料を収受できなかった倉庫会社への支援を決めた。2025年度末までの保管料に加え、当初見込んでいなかった運送費用や、出庫を急いだことで生じた経費を支援する。その上で、同省は備…

車体課税見直し報告書、自治体の財源維持を

 総務省が設置している地方財政審議会の自動車関係税制のあり方に関する検討会(小西砂千夫座長、地方財政審議会会長)は11月21日、自動車の車体課税の見直しに当たって報告書を取りまとめ、地方自治体の財源として、引き続き重要な…

自動運転「L4」実用化PT、導入ガイドブック公開へ

 レベル4(L4、特定条件下での完全自動運転)トラックの2030年ごろの実用化に向け、大型車メーカー、大手物流事業者などで構成するプロジェクトチーム(PT)は、技術開発と走行環境の整備に向け、新東名高速道路で総合走行実証…

オススメ記事

暫定税率廃止法が成立

 ガソリン税(揮発油税)の暫定税率廃止法が11月28日の参院本会議で可決、成立した。ガソリン税での12月31日の廃止を規定するとともに、軽油引取税でも2026年4月1日に廃止することや、軽油の旧暫定税率廃止に当たって運輸…

農水省「備蓄米放出」、倉庫会社に保管料支援

 農林水産省は、政府備蓄米の放出に伴い本来の保管料を収受できなかった倉庫会社への支援を決めた。2025年度末までの保管料に加え、当初見込んでいなかった運送費用や、出庫を急いだことで生じた経費を支援する。その上で、同省は備…

車体課税見直し報告書、自治体の財源維持を

 総務省が設置している地方財政審議会の自動車関係税制のあり方に関する検討会(小西砂千夫座長、地方財政審議会会長)は11月21日、自動車の車体課税の見直しに当たって報告書を取りまとめ、地方自治体の財源として、引き続き重要な…

自動運転「L4」実用化PT、導入ガイドブック公開へ

 レベル4(L4、特定条件下での完全自動運転)トラックの2030年ごろの実用化に向け、大型車メーカー、大手物流事業者などで構成するプロジェクトチーム(PT)は、技術開発と走行環境の整備に向け、新東名高速道路で総合走行実証…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap