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取引労働改善大分協、フェリー コストかかる 高速 休息を確保できず

団体

2017/03/30 0:00

【大分】トラック輸送における取引環境・労働時間改善大分県地方協議会(前田明座長、放送大学大分学習センター所長)は21日、会合を開き、パイロット事業の結果を報告した。  実施集団は、発荷主が農業組合法人の協和(大島秀明代表理事)で、元請・実運送事業者が豊後通運(中島康博社長、杵築市)。パイロット事業は、杵築市の鶏卵出荷センターから大阪、滋賀の卸会社までの長距離輸送で実施した。  大分─大阪の移動で、長距離フェリーに乗船した運行と、高速道路を利用した運行を比較。出発から終納品地までの運転者の労働時間、運送コストのデータを比べ、モーダルシフトの効果を検証した。  フェリー利用の場合、運転者の拘束時間は10時間40分で、高速利用の22時間10分に比べ半減。運転時間も高速利用の半分以下に抑えることができた。  高速利用では、始業から復路のフェリー乗船まで休息が取れなかった。8時間の休息を確保するためには発荷主の積み込み時間の前倒し、着荷主の納品時間の後ずらしが必要となる。運送コストはフェリー利用が1万1千円高いが、高速利用より消耗品、修理コストが抑制できる。  課題としては、①出荷作業が遅れ出航時刻に間に合わなかった場合、高速道路運行となる②輸送コストが上昇する③フェリー発着の時刻・場所が制約され運行の自由度が低い――が挙がった。  委員から「フェリーのキャパシティーはもはや限界。パレット化、大分発着のRORO船の活用など、更に一歩進めたモーダルシフトの仕組みづくりが急務」「人材確保、安全対策の拡充、付帯作業の価格交渉には基準となる運賃が必要」などの意見が上がった。  また、本州からの下り便の非効率性を指摘する声が多く、「帰り荷は出発地、時間、輸送量が安定せず、運行時間の短縮が難しい。着荷主を含めて改善を協議し問題を解決して欲しい」との要望があった。  2017年度のパイロット事業は、大分県で製造された工業製品を大分─静岡に就航しているRORO船で中部、関東方面に輸送する実証実験を行う。実運送はさくら運輸(後藤信雄社長、佐伯市)が担い、労働時間、輸送コストの縮減効果を検証する。(上田慎二) 【写真=「更に一歩進めたモーダルシフトの仕組みづくりが急務」との意見も】





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