国交省/事業用車総合安全プラン09、新プランに今夏移行 「死者半減」達成困難
行政
2017/03/30 0:00
国土交通省は24日、トラック、バス、タクシーの総合的な安全対策と2018年度の事故削減目標を定めた「事業用自動車総合安全プラン2009」に代わる、20年度を目標とする新たなプランを策定することを決めた。事業用自動車による交通事故死者の半減や飲酒運転ゼロの目標達成が難しくなっている上、自動運転をはじめとした先進安全技術が進展するとともに、健康に起因する事故が増加。こうした状況に対応するため、直ちに新プランの策定作業を進め、今夏から移行する予定だ。(田中信也) 同日開催した「事業用自動車総合安全プラン2009フォローアップ会議」(野尻俊明座長、流通経済大学学長)の会合で、自動車局安全政策課が提起した。安全プラン09は「08年度比で交通事故件数・死者数半減」「飲酒運転ゼロ」を18年度の目標に掲げ、事故防止対策を推進してきた。 トラック、バス、タクシーの各業界と連携した対策により、交通事故件数は着実に減少し、半減させる目標は達成の可能性が高い。半面、死者については、タクシーが14年に増加に転じ、バスも横ばいで推移、トラックだけが減少を続けているものの、15年は312人と、18年220人の目標達成は極めて困難な状況。また、飲酒運転事案はいまだトラックで94件(15年)発生するなど「依然として憂慮すべき状況」となっている。 14年11月には中期目標(13年)の達成状況や取り巻く情勢の変化を受け、「危険ドラッグなど薬物使用運行の絶無(撲滅)」などを加えた中間見直しを行った。 しかし、16年1月の長野県軽井沢町でのスキーツアーバス事故をはじめとした社会的影響の大きい事故が発生し、新たな安全対策を策定。更に、①自動車の先進安全技術の開発・普及や、②人口減少・高齢化社会での輸送サービス確保に向けた生産性向上に関する取り組み・議論の進展③ドライバーの健康・過労に起因する事故の増加④運行中に携帯電話などを操作する事案の頻発――といった課題が顕在化してきた。 会合では、こうした変化を受け事務局が「新たな対策理念と対策指標、施策を早急に設定する必要がある」として、プラン09に代わる新たなプランの策定作業を開始する方針を表明。有識者や全日本トラック協会(星野良三会長)など関係団体の了承を得た。 前倒しで策定する新プランは、政府の第10次交通安全計画と連動させるとともに、東京五輪の開催、更には政府が掲げる「完全自動運転実現」の目標に合わせ、17~20年度の4カ年を計画期間として設定する。 新プランの策定作業は、フォローアップ会議で進め、7月か8月に移行。計画に盛り込む施策での必要性を踏まえ、18年度の予算要求にも反映させていく。 なお、会合では有識者から策定に際し、「事故の結果ではなくプロセスを踏まえた対策」「ビッグデータを整備するため関係機器の標準化」「対策をむやみに増やすのではなく、(現行プランの対策を)減らすこと」などに留意すべき、といった意見が上がった。 【写真=東京五輪の開催や政府が掲げる「完全自動運転実現」の目標に合わせ、計画期間を設定】