クラボウ、熱中症防ぐ衣料開発 運送業界むけ リスクを即時評価
産業
2017/03/27 0:00
クラボウは22日、熱中症予防対策に特化したリスク管理システム及びスマート衣料「スマートフィット」の開発に着手した、と発表した。大阪大学、日本気象協会(石川裕己会長)などと共同で開発。熱中症リスクの高い運送・建設業界をメインターゲットにし、5月から200人にモニター調査を行う。2018年度に実用化を目指す。 心拍数、体表温度、加速度といった生体情報を取得する機能を備え付けたスマート衣料から、着用者の携帯するスマートフォン(スマホ)を通じてクラウド上にデータを送信。各地域の気象情報、緊急搬送情報を融合した独自のアルゴリズムで解析した指標を基に、リアルタイムで熱中症のリスクを評価する。 個人のデータをモニターするだけではなく、着用者の集団から見える、地域や作業現場ごとの危険度を確認できるのが特徴。各従業員の状態は、管理者側のパソコン、タブレット(多機能携帯端末)などで一括して管理する。 企業用のリスク管理システムとしてリリースした後、更なるビッグデータ化を推進。屋外の大規模イベント、独居高齢者の安全対策といった日常生活への転用を進める。 大阪市で開かれた記者発表会で、平田政弘・執行役員繊維事業部技術部長は「物流企業に対しては、まず庫内作業のような定点で仕事をする従業員向けのサービスからスタートしたい。その後、商品が全国に普及し、各地域からのデータが取得できるようになれば、配送のために巡回するドライバーのリスク把握も可能になるはず。ただ利益を追い求めるのではなく、地方自治体への熱中症リスク情報の発信など、社会貢献の役割も果たしたい」と話した。(蓮尾輝) 【写真=衣料に備え付けたセンサーで、心拍数などをモニター】