アサヒ、埼玉県・滑川に多目的施設 初任・事故者研修に活用
物流企業
2017/03/20 0:00
アサヒロジスティクス(横塚元樹社長、さいたま市大宮区)は13日、埼玉県滑川町に多目的施設「滑川福田センター」を開設した。初任運転者、事故じゃっ起者などへの研修に活用し、教育研修体制を強化。また、大規模災害が発生した際の災害対策本部としての運用を念頭に、非常用発電設備を導入するなど、ハード、ソフト両面から安全対策を展開する拠点とする。(小瀬川厚) 施設は、1万1千平方メートルの敷地に外周600メートルの教習用コースを併設。周辺の景観に溶け込む落ち着いた外観とした。コース内にはS字・L字レーンを設けたほか、直線部は135メートルを確保。一部2階建ての多目的棟は延べ床面積340平方メートルで、最新型のドライビングシミュレーターを導入した。高精細な画像の4Kモニター3台で構成し、様々なシーンを想定した運転体験が可能となっている。自動車事故対策機構(鈴木秀夫理事長)の適性診断測定システム「ナスバネット」も設置した。 また、同センターの開設に当たって教習車3台を新たに投入。ダブルキャブタイプの4トン車は前列3人、後列4人の7人が乗車できるほか、車体側面下部に2灯式LED(発光ダイオード)による「見込み防止確認ランプ」を装着し、指導員の操作により右左折時のミラーでの側方確認が行えているかをチェックできる。 4トン車と3トン車は現場で実際に使っているものと同じ仕様とし、運転以外の搬入、荷下ろしといった研修にも使用。車体を真上から見下ろしたような視点で、周囲を確認できる「アラウンドビューモニター」を採用した。内輪差やリヤオーバーハングによる外輪差についての指導に活用する。 12日から事業用自動車の運転者に対する指導・監督の指針が改正されたのに伴い、指針に基づいた研修を展開。初任ドライバー向けに2泊3日の新人研修を実施する。また、事故じゃっ起者研修(1泊2日)は事故の状況を再度認識させることに主眼を置き、実技中心の指導を行う。 いずれも研修終了後に効果測定を実施して、合格基準の90点に満たないドライバーには再度受講させる。新人研修の実技の20時間については、配属先の現場でも一部を実施する。 同日の開所式で、横塚社長は「宅配業界でのドライバー不足が連日報道されているが、我々のようなBtoB(企業間)の物流分野でもドライバーは日々減少している。当施設を活用することで新卒者、女性などの未経験ドライバーに会社の安全に対する思いを知ってもらい、中身の成長につなげていく」とあいさつ。 滑川町の吉田昇町長、埼玉県トラック協会の鳥居伸雄会長らの祝辞に続き、横塚正秋相談役が「戦略的にも重要な施設となる。CS(顧客満足度)=ES(従業員満足度)=CS(企業満足度)を理念に掲げてきた当社にとって、『従業員に不満を持たれない会社』でなければ、当社の将来は無い」と述べた。 【写真=周囲の景観に溶け込む落ち着いた雰囲気に】