指定自動車教習所、準中型対応半数どまり 地域で偏り 都市部は少なく
産業
2017/03/20 0:00
改正道路交通法の施行により、12日に新設された準中型自動車免許の教習は、今月末までに全国653の指定自動車教習所でスタートする。地域により数にバラツキはあるものの、全都道府県で準中型取得希望者の受け入れ体制が整う。ただ、全指定教習所1281校に占める割合は51%程度。トラック業界での労働力不足解消に向け、高校新卒者ら若者の就労を促進する上で、対応可能な教習所の一層の拡大が求められる。(田中信也) 車両総重量7.5トンまでの貨物自動車を18歳から運転できる「基礎的免許」である準中型免許は、教習時限数として技能41時限、学科27時限の計68時限を設定。これまでの5トン未満を対象とした旧普通免許(現在の限定準中型)に比べると、全体で8時限、技能では7時限多い。 ただ、旧普免取得者は指定教習所で4時間の技能教習を受けるか、運転免許試験場の審査を合格すれば、準中型への限定解除が受けられる。 準中型と、旧普免からの限定解除の教習を3月中に開始する指定教習所を、全日本指定自動車教習所協会連合会(安藤忠夫会長)が13日公表した。全都道府県で準中型教習を受けられる体制が整備されるが、最多48校の北海道に対し、最少の奈良県、沖縄県はいずれも3校と、地域で偏りがある。また、もともと中型の指定教習所が少ない都市部では、東京都15校、神奈川県12校、愛知県6校、大阪府13校にとどまっており、人口と比例していない。 中型1種・2種の指定教習所は、準中型教習の実施に際して、新たに都道府県公安委員会の指定を受ける必要が無い。2016年末時点で、1種795校、2種139校の計934校の中型指定校があり、今回公表された653校を除く281校については「準中型教習を実施しないか、現時点で準備が整っていないケース」(全指連)としており、4月以降に実施校が増える可能性もある。 一方、普免教習のみ実施する教習所については、使用する場内コースなどは旧普免教習と同じ要件となる。しかし、教習用トラックの導入や、指導員の力量が問われるため、中型、大型の教習を開始する際と同様に、最低6カ月間の「指定前教習」を経て、公安委員会の指定を受ける必要がある。 準中型の取得者を増やしていくには、対応教習所の更なる拡大が欠かせない。全都道府県で受け入れ体制が整備される見通しだが、全指定教習所1281校の51%にとどまり、十分とは言い切れない。今後、中型を実施する教習所の大きな伸びは想定しにくく、普免のみ実施している教習所への指定拡大に期待がかかる。 【写真=準中型に対応した武蔵境自動車教習所(東京都武蔵野市)】