柴又運輸、八洲薬品と来月提携 再生医療物流のノウハウ向上
物流企業
2017/03/13 0:00
柴又運輸(鈴木正博社長、東京都江戸川区)は、「LtoL(研究室から研究室)プロジェクト」の推進を一層加速させる。八洲薬品(広岡祥弘社長、大阪府茨木市)と4月1日に業務提携契約を結び、再生医療物流事業の本格展開に向けて更に輸送ノウハウの向上を促進する。 2012年に再生医療物流プロジェクトを始動し、たんぱく質結晶やiPS細胞(人工多能性幹細胞)の輸配送サービスをスタート。運送契約を取り交わすことを前提に1月から交渉を開始した八洲薬品は、先行する3社(創晶、大手医薬品卸、リプロセル)に次ぐ4社目の業務提携企業となる。 柴又運輸は関東と関西に1台ずつ配備している細胞輸送専用車両「シバックスメディカルライン(SML)」を駆使し、実験室-実験室や研究室-研究室の輸配送業務を受託。厳格な温度管理を可能にするインキュベーター、防振装置、誤配送防止システム、セキュリティーシステムなどを活用し、専門教育を受けたドライバーが生細胞などを時間厳守で届ける。 構想では、18年中に関東と関西で自前による域内輸配送(ラストワンマイルのスキーム)を完成させるほか、地方エリアでは志を同じくする協力会社と連携し、全国ネットワークを構築したい意向。再生医療市場の本格的な形成が期待される20年を見据え、病院、製薬会社、研究所をつなぐ域内輸配送の受託を目指しており、急ピッチでノウハウとスキルを積み上げていく。 再生医療物流はマーケットの拡大に伴い、新規参入の増加も予想されるが、細胞を生の状態で輸配送できることをセールスポイントに、競合他社との差別化を図っていく方針。ドライバーの質が成否を左右するとみており、16年にはLtoLプロジェクトの楠野直之・シバックスメディカルライン担当が、大阪府立大学理学部卒業の経歴を生かして、細胞にまつわる計3回の勉強会で講師を務めた。 同プロジェクトは鈴木社長を含めた6人のメンバーで推進。今後も細胞の種類などに応じた最適な輸配送方法の確立を追求していくとともに、生命線であるドライバー教育の充実・強化にも一段と注力する。 岡田修プロジェクトリーダーは「ドライバーの質が他社との違いを生むと認識している。車などのハードは基本的にどこも変わらない。最終的には人であり、ドライバーが決め手となる。再生医療物流のエキスパートとして常にトップを走り続けたい」と話している。(沢田顕嗣) 【写真=SMLを背に記念写真に納まる岡田プロジェクトリーダー(右)と楠野SML担当】