大隅物流/保冷・蓄熱コンテナ、レンタル業務を開始 電源不要で5日間温度保持
物流企業
2017/03/13 0:00
大隅物流(山川栄明社長、茨城県稲敷市)は4月から、電源不要の保冷・蓄熱コンテナのレンタル業務を開始する。真空断熱パネルと保冷・蓄熱剤の組み合わせで、貸し出しから5日間、一定の温度帯を保つ。医薬品の需要を見込んでおり、依頼があれば国内輸送も行う。 コンテナは、英バキュテック社が開発した「バキュテナー」。真空断熱パネル採用のコンテナと、保冷・蓄熱剤を組み合わせたもので、断熱・保冷性能に優れるだけでなく、外気温が設定温度より低い場合は加温する機能を持つ。8日、大隅物流の稲敷倉庫(同市)内にレンタル拠点を設けることについて、同社とバキュテック社が合意。4月をメドにサービスを開始する。 対応する温度帯は、セ氏2~8度、同15~25度、マイナス15~25度など6温度帯。貸し出しから5日間、コンテナ内の温度を維持するため、医薬品の輸出入や国内輸送での需要を見込んでいる。 サイズは、ユーロサイズ(1200ミリ×800ミリ×1170ミリ)、USサイズ(1200ミリ×1250ミリ×1170ミリ)、USサイズの2倍の「ツイン」など4種類。 USサイズは日本の1100ミリパレットを収納できる。また、常温10トン車にバキュテナーを積み込み、荷台の一部を保冷化して、夏季の保冷輸送需要に対応することも可能。 大隅物流が運営するレンタル拠点では、バキュテナーの貸し出し、返却、洗浄に加え、断熱性の定期チェックも実施。コンテナに傷があると、パネル内の真空度が下がり断熱性能が低下することから、真空度をチェックして品質を保つ。月間40~50個のコンテナを運用する予定。 保冷輸送には、リーファーコンテナのように電源供給を必要とする「アクティブ輸送」と、断熱素材と保冷剤の組み合わせによる「パッシブ輸送」がある。 パッシブ輸送では、発地で発泡スチロールや保冷剤を用意し、梱包したり、保冷剤を冷やすなど事前準備が必要。また着地では、大量のごみが発生し、処理に手間が掛かることが問題となっている。 バキュテナーを使えば、事前準備をすることなく、一定温度に設定されたコンテナに荷物を積み込むだけで済み、ごみの低減にもつながる。 レンタル拠点とする稲敷倉庫は成田空港に近く、主にフォワーダーの需要を見込む。レンタル以外にも、国内製薬メーカーの拠点間輸送などのニーズに応じる。 大隅物流が実施した実験では、保冷車にバキュテナーを積んで輸送すれば、積み込みから5日以上一定温度を維持できることが実証されており、長距離輸送にも対応したい考えだ。 バキュテナーのレンタル業務は各国で展開されており、シンガポールでは郵船ロジスティクスがレンタル拠点を運営。国内では、外資系物流会社が運営する東京都江東区の拠点に続き、2カ所目となる。(吉田英行) 【写真=真空断熱パネルを採用し、4サイズを用意】