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フロン類規制/自然冷媒機器普及、ロードマップ策定必要 環境省検討会 企業に計画的転換促す

行政

2017/03/13 0:00

 環境省の有識者検討会は9日、冷凍冷蔵倉庫などで使用され、温室効果のあるフロン類への規制に対する今後の施策の方向性をまとめ、「脱フロン」の流れが進む中、省エネ型自然冷媒機器の普及に向けたロードマップを策定する必要性を明記した。一方、フロン類の製造メーカーに課す「フロン税」の導入といった手法に関しては、具体的な議論が行われなかったため、引き続き検討することにした。(土屋太朗)  同日、フロン類対策の今後の在り方に関する検討会(西薗大実座長、群馬大学教授)の終会合を開き、報告書案を了承した。  「脱フロン」などを通じて気温上昇を抑える取り組みは、世界的に進む。オゾン層破壊効果の高い特定フロン(HCFC)について、先進国は2020年までに全廃しなけれなばらない。HCFCの代わりとして利用される代替フロン(HFC)は、温室効果が高いため、16年10月に採択されたモントリオール議定書で、段階的に削減・廃止していく方針が決まっている。  日本でも15年4月にフロン排出抑制法が施行され、業務用機器の適正な管理が求められている。冷凍冷蔵倉庫や冷凍冷蔵車などで二酸化炭素(CO2)を千トン以上漏えいさせた場合、企業は漏えい量を国に報告しなければならない。  こうした中、報告書では、フロン類の漏えい率の低減や機器廃棄時の回収率向上など、現状の課題を整理。今後の環境省の施策に反映させる。  省エネ型自然冷媒機器の普及については、現状では、初期投資の高さから、企業が進んで導入する段階ではない――と指摘。導入の障壁となっている規制や手続きの有無に関して調査し、必要に応じて規制の合理化を図るよう求めた。  また、19年1月以降に発効されるモントリオール議定書では、先進国に対しHFCを36年までに11~13年の平均値より85%削減するよう提示。こうした流れを踏まえ、企業に計画的な省エネ型自然冷媒機器への転換を促すために、明確なビジョンを定めたロードマップの必要性を記した。  一方、経済的手法として検討課題に挙げられていた「フロン税」については、具体的な方向性が示されなかった。現行の地球温暖化対策税の税率を、フロン類にも適用するもので、年200億円程度の税収を見込んでおり、使い道には自然冷媒機器の導入補助などを想定している。  課税先は冷媒メーカーだが、機器への価格転嫁などで企業の導入負担は増える可能性がある。また、税収の使い道が不明確な点も指摘されており、以前から検討されていたものの、結論には至っていない。今回の議論でも踏み込めず、報告書では「具体的な制度の在り方について検討が必要」との記述にとどまった。 【写真=環境省は報告書を施策に活用】





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