国交省/「中継輸送」実証実験 参加企業、今後に意欲
行政
2017/03/09 0:00
国土交通省が3日の有識者検討会で報告した、中小運送事業者同士による中継輸送の実証実験結果によると、全ての参加企業が「今後も取り組みたい」と回答した。ただ、2017年度以降は実証事業として行わず、各社の調整事項となる。現時点で来年度以降も継続する企業は無い。事業者間の事前準備や荷主の理解といった課題も指摘されおり、国交省は近く、実施に向けた手順書をホームページに公開する。(土屋太朗) 実証事業は1、2月に実施。「貨物積み替え」方式に2組、「ドライバー交替方式」には3組の企業が参加した。 実証事業後のヒアリングで、参加企業は全て「今後も取り組みたい」と、これからの実施に意欲をみせた。このうち「自社単独で行いたい」とした企業は、トラブル発生時に柔軟な対応ができることを理由に挙げた。一方、自社の営業所エリアだけでは対応が難しいことなどから、「協業で行いたい」とする企業もあった。 コスト要因には、全ての実証事業で高速道路料金が上乗せされたことを指摘。普段は通らない降雪地帯を運行したことで、新たに冬用タイヤの導入費が発生したケースもみられた。 普及のための課題として、運転者不足の現状を荷主に浸透させる必要性を提示。中継拠点の整備や、運送事業者の取扱品目・車種構成が分かるデータベースを求める意見も上がった。 運転者へのヒアリングでは、中継輸送に対して「魅力的」との回答が目立った。貨物積み替え方式の運転者は「他社のドライバーと接することで、積み替え作業や積み下ろし技術が勉強できる」と指摘。一方、ドライバー交替方式では「他社の車両を運転することへのストレスは大きい。長年、業務に従事している人は同様の感想を持つ可能性があるが、新規採用者には有効ではないか」との声が出た。 このほか、中継地点として活用された郡山トラックセンター(TC、福島県郡山市)と浜松トラックステーション(TS、浜松市東区)からは、ドライバー交替方式であれば「中継地点として提供するのは問題無い」と説明。半面、設備上の問題から、貨物積み替え方式については「収支計画を立案・検証したい」(郡山TC)、「対応できない」(浜松TS)とそれぞれ回答した。 今回、貨物積み替え方式を採用したのは、清水運輸(清水英次社長、埼玉県志木市)とカワキタエクスプレス(川北辰実社長)、清水運輸とトヨタライン(斎藤和彦社長、山形県東根市)の2組。ドライバー交替方式は、魚津海陸運輸倉庫(田村繁樹社長、富山県魚津市)と福井高速運輸(加藤信孝社長、福井市)、萬運輸(東海林憲彦社長、横浜市鶴見区)と協伸運輸(松島伸典社長、兵庫県西宮市)、G・R・TRANS(山際満社長、埼玉県行田市)とティスコ運輸(菅原茂秋社長、山形市)の3組で実施した。 【写真=ドライバー交替方式の実証事業で、車載器の操作方法などをレクチャーするドライバー】