パナソニック/宅配ボックス活用実験中間報告、再配達率49%→8%
産業
2017/03/02 0:00
パナソニックが2月24日発表した、宅配便再配達削減を目指して宅配ボックスを活用する実証実験の中間報告によると、戸建て住宅へのボックスの設置で再配達率が49%から8%と大幅に低下した。また、労働時間が65.8時間、二酸化炭素(CO2)排出量は137.5キロ、それぞれ削減。当初想定を大きく上回った。更なる改善に向け、冷蔵冷凍製品や大型の宅配便に対応するボックスの必要性を指摘している。(土屋太朗) 共働き世帯が日本で一番多い福井県のあわら市の共働き世帯106軒に、同社製のボックスを設置し、効果を調べた。実施期間は2016年12月1日~17年3月31日で、今回は16年12月の1カ月間の成果について、103世帯の回答を取りまとめた事業者からはヤマト運輸(長尾裕社長、東京都中央区)と日本郵便(JP、横山邦男社長、千代田区)が協力している。 12月の総配達数761回のうち、ボックスで受け取ったのは299回で全体の39%。対して、再配達となったのは57回で8%となり、実験前の49%から41ポイントも下がった。宅配事業者の労働時間に関しては、65.8時間の削減効果がある――とはじいた。 パナソニックでは、調査が行われる17年3月末までの労働時間削減効果について、25時間と想定。中間報告では、この予想を大幅に超える結果となった。 一方、ボックスが稼働しなかった理由をみると「宅配事業者が入れてくれなかった」が28%で最も多い。また、「ボックスがいっぱいだった」24%、「冷蔵冷凍だった」24%「大きすぎて入らなかった」10%との回答も目立った。このため、同社は再配達の更なる削減に向け、ボックスの大型化など消費者ニーズへの対応が必要――としている。 併せて、市場に流通しているのが1%程度と言われるボックスの普及も課題。宅配事業者へのボックスの使用方法の周知徹底にも取り組む方針だ。 今回の結果を受け、4月の最終取りまとめでは、再配達率8%前後、再配達削減回数700回以上を見込んでいる。 【写真=福井県あわら市の共働き世帯106軒にボックスを設置】