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圏央道/境古河―つくば中央開通、「6つの大動脈」結ぶ 時間短縮&倉庫立地促進

行政

2017/02/27 0:00

 首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の境古河インターチェンジ(IC)-つくば中央IC(28.5キロ)が26日、開通。東名高速道路から東関東自動車道までの六つの大動脈を結ぶネットワークが事実上完成したことで、首都圏の渋滞緩和やアクセス向上による時間短縮、倉庫立地の更なる促進など、物流面での大きなメリットが期待される。一方で、片側1車線区間が多いため、渋滞や事故を懸念する声も上がっている。(田中信也、小瀬川厚)  同区間の開通で、神奈川県の茅ヶ崎ジャンクション(JCT)から東名、中央自動車道、関越自動車道、東北自動車道、常磐自動車道を経て、千葉県の東関道・大栄JCTまでの198キロが1本につながった。これにより、未開通区間は大栄JCT-松尾横芝ICと釜利谷JCT-藤沢ICを残すのみとなり、首都圏三環状道路の外周を形成する圏央道のネットワークが事実上完成した――と位置付けられる。  また、東北道と常磐道が接続されたことによる首都圏全体のネットワーク効果に加え、茨城県内では坂東、常総の両ICの開設も相まって、東西の新たな交通軸を形成。更に、全ての利用者に分かりやすい道案内をするため設定した高速道路ナンバリング(路線番号、圏央道は「C4」)も、全国で初めて導入された。  石井啓一国土交通相は、21日の会見で「東名から東関道までの六つの高速道路がつながることで、関東各地の観光地間のアクセス向上による観光促進、圏央道周辺に立地する大型物流施設の生産性向上が加速し、経済成長への効果も期待される。今回の開通を機に、高速道路ナンバリングによる道案内を全国に広げていく」と、開通による効果を強調した。  成田空港から北関東方面のアクセスも向上する。東関道と接続する新空港自動車道・新空港ICから関越道・花園ICまでの所要時間は1時間55分と試算しており、首都高速道路経由の都心ルートより20分短縮。ルート選択が可能になったことで、渋滞や事故による通行止めも回避できる。  東京都の多摩地域、茨城県を配送エリアに持つ藤城運輸倉庫(藤城卓社長、埼玉県桶川市)の藤城俐郎会長(73)は「当社にとって延伸効果は大きいと期待している。圏央道が桶川北本ICまで延伸された10年3月以降、(輸送ルートを)国道16号から切り替えたことで、ドライバーの運転時間削減により労働環境改善につながった。東北道と接続された15年10月からは並行する県道の交通量が減っており、茨城ルートの開通で片道1時間程度の時間短縮が見込める」と歓迎する。  一方、千葉エリアへの食品共同配送を行っているヤマニ屋物流サービス(茨城県古河市)の相良利夫社長(64)は「国道16号での朝晩の渋滞が悩みのタネだった。相模原から古河までは、16号の利用で4時間だったのが半分以下に短縮され、稼働率や生産性の向上につながる。特に(千葉県の)内房・外房地域への配送では大幅な時間短縮が図れるので、トラック事業者にとって(圏央道の利用)は大きな意味を持つ」と話す。  12年に日野自動車が境古河ICの近接地に開設した古河工場では、1月からキャブの生産も開始するなど、日野工場(東京都日野市)からの生産切り替えを順次推進。  同社の完成車、部品(KD)の輸送を手掛ける千代田運輸(水野功社長、日野市)の担当者は「これまではKD輸送のみだったので、茨城方面への輸送需要は特に無いが、同方面への完成車輸送や日野自が常陸那珂港の利用を開始することも想定すると、開通のメリットは大きい」としている。  圏央道(東名-東関道)沿線には、大手ディベロッパーによるマルチテナント(複数企業入居)型から地元トラック事業者による中小規模まで、物流施設が1586カ所(総務省の14年経済センサスの産業分類に基づく集計)に立地している。  今回の開通区間では、境古河ICに近接する延べ床面積2万1千平方メートルの危険物倉庫(首都圏ケミカルセンター)を日立物流ファインネクスト(小林直久社長、東京都江東区)がまもなく開設。また、プロロジス(山田御酒社長、千代田区)は2018年にも、つくば中央IC付近に延べ床面積3万8千~5万7千平方メートルのマルチ型大型物流施設(プロロジスパークつくば)を建設する計画だ。  ただ、今回の開通区間を含め、東北道と接続する久喜白岡JCTから大栄JCTまでの大半の区間は、暫定2車線(片側1車線)となっている。そのため、「スピードリミッターの付いた大型車の通行が増えれば、渋滞の原因となるだけでなく、対面通行部での事故発生のリスクにもなり、これに伴う通行止めの恐れは否定できない」(相良氏)、「交通量増加による渋滞が懸念される」(千代田運輸の担当者)といった指摘も少なくない。  ネットワーク機能の拡充で通過交通量が増加し、物流施設の立地も加速する中で、円滑な輸送を確保するためには片側2車線などへの拡幅、IC付近の合流車線の延長といったインフラ面の一層の充実が期待される。 【写真=円滑な輸送を確保するため、片側2車線などへの拡幅といったインフラ面の一層の充実が期待される=東日本高速提供】





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