大隅物流、デジタコと冷凍機連携 リアルタイム温度管理
物流企業
2017/02/20 0:00
【茨城】大隅物流(山川栄明社長、茨城県稲敷市)は、ネットワーク型デジタルタコグラフと冷凍機を連携させることで、医薬品の品質維持を実現している。事務所側で①冷凍機のオン・オフ②設定温度③冷凍機が認識している温度――をリアルタイムに確認できるのが特徴で、ドライバー任せでなく、会社として品質に責任を持つ仕組みだ。(吉田英行) 3トン積みから大型までの加温機能付き温度調節車15台を保有。医薬品の温度管理やセキュリティー管理に関する「GDP」と呼ばれる国際基準を取り入れた輸送を展開する。製薬メーカーの工場と物流拠点、研究施設などを結ぶチャーター便運行のほか、成田空港を利用した輸出入も手掛ける。 2015年に富士通製のドライブレコーダー(DR)一体型でカードレスのデジタコ「DTS―D1D」と、クラウド型の運行支援システム「ITP―WebService V2」を導入。品質維持と安全輸送に役立てている。 デジタコは車載冷凍機と連携させているのが大きな特徴だ。事務所側で冷凍機のオン・オフ、ドライバーが設定した温度、冷凍機が認識している温度(冷凍機パネル表示温度)を、一つの画面で確かめられるようになっている。 「これまではドライバーにいちいち電話して確認していたが、デジタコとの連携により、冷凍機のスイッチがヒューマンエラーでオフになっていないか、設定温度は指示通りになっているかなどを、デジタル的に把握できるようになった。温度管理をドライバー任せにせず、またドライバーにはストレスを与えることなく、品質を維持できる」と山川社長は話す。 また、荷室後部に取り付けているセンサーで取得した実際温度と、冷凍機に近い荷室前部で計測している冷凍機パネル表示温度を二重管理。双方がプラスマイナス2度の範囲となるよう、荷室内の温度管理を厳格に行っている。これらの温度はチャート表示にし、荷主の求めに応じて提出することも可能だ。 更に、急加減速、急旋回などの危険運転が発生した場合、事務所のパソコンや山川氏のスマートフォン(スマホ)にメールが届く仕組みになっている。 「その際には動態管理機能で車両位置を調べ、DRの動画を確認し、ドライバーに指導するとともに、ヒヤリ・ハット防止教育でも活用している」(山川氏) このほか、デジタコとモバイルアルコール検知器との連携、ドアセンサーによるドア開放時間管理なども実践している。また、国際基準対応の温度記録証明を自動作成する温度ロガーを活用。販売ビジネスも手掛けている。 山川氏は「医薬品は自分も家族もみんなお世話になる。その大切な製品の品質は、温度管理やドアの開け閉めなどドライバー一人ひとりの、一つひとつの作業にかかっている。会社として品質を守るために、デジタコが大きな役割を果たしている」と強調する。 【写真=国際基準GDPを取り入れた医薬品輸送を展開】