岩手県&ヤマト運輸、復興道路で共同輸送 新たなスキーム構築
行政
2017/02/20 0:00
岩手県とヤマト運輸(長尾裕社長、東京都中央区)は、国の事業として建設が進められている復興道路を活用した共同輸送の試験運行を開始した。東日本大震災以降、漁獲量が落ち込むとともに荷主との取引が減ったため、輸送量が減少して物流コストが上がっていた。複数の荷主のワカメや昆布、ホタテなどの水産物に加え、水産加工品、製麺類を取り扱い、低コストで運ぶ。3月31日までに40便のテストランを実施し、成果を踏まえて継続的な運行を目指していく。 13日には宮古市の田老町漁業協同組合(小林昭栄組合長)で出発式が開かれ、ヤマト運輸岩手主管支店の中川幸洋支店長と同協組の小林組合長があいさつ。テープカットなどのセレモニーに続いて、第1便の6トントラックが春採りワカメ等を積み込んで出発した。その後は復興道路に指定されている三陸沿岸道路(三沿道)を利用して、同市内の別の施設や釜石市、石巻市、仙台市の物流拠点を経由し、首都圏や関西方面へと向かった。各地への所要時間は、1日程度早まる見通しだ。 両者は2016年5月、地域の活性化と県民のサービス向上を目的に、地域包括連携協定を締結。これに基づき、県産品の販路拡大やリードタイムの短縮に向け、新たな輸送スキームを構築する取り組みを、いよいよスタートさせた。今後は、多様な温度帯の荷物へ対応するため特殊コンテナを使用し、10トントラックの手配も視野に入れる。 三沿道は、青森県八戸市と仙台市を結ぶ高規格道路。事業化された全長359キロのうち、16年10月末時点で167キロが供用済み。20年度までに大半が開通する見通しになっている。同県の担当者は「大震災以降、コスト高騰など物流の問題で苦労してきた。また、地元では漁獲高も伸び悩んでいる状態。三沿道の開通を見据え、輸送費用の削減とスピードアップを実現し、高品質な物流の仕組みづくりにつなげたい」と話している。(今松大) 【写真=テープカットに臨む中川支店長(右から2人目)ら=ヤマト運輸提供】