近畿のトラック事業者、人材確保 独自に工夫 既存の媒体頼らず
物流企業
2017/02/13 0:00
【大阪】職業安定所や求人情報誌といった既存の媒体ではなく、インターネットの求人サイト、地域の就職説明会などを活用した人材確保の動きが近畿で活発になっている。ドライバー不足の深刻化が叫ばれる中、運送事業者は独自の工夫を凝らして一人でも多くのドライバー確保を狙う。(蓮尾輝) 「職業安定所や求人情報誌で人材を募集した場合、あまり反応は期待できない上、あったとしても高齢者など、条件の合わない人が来ることが多かった。募集方法を変えようとインターネットの転職サイトに求人を掲載したところ、1カ月で16人の反応があった。メールでの問い合わせへの対応に手間は掛かるが、求職に真剣な人が多い印象だ」と語るのは、中野運送(大阪市北区)の中野由彦社長(73)。 転職サイトに求人を載せる以外にも、自社のホームページ(HP)を刷新し、求人情報を見やすくリニューアル。写真を中心にデザインし、作業風景や倉庫で働いているパートタイマー、営業所の職員のインタビューを掲載。社内の雰囲気を分かりやすく紹介することで、インターネット経由の求職者を呼び込む考えだ。 転職サイトを経由して問い合わせを送ってくる人材は、元教員、ドライバーなど様々。一度は会社勤めを経験しているため、ビジネスマナーをはじめとする一般常識を教える手間が省け、社員教育の効率化にもつながる。 トラックドライバー専用求人サイト「トラックマンジョブ」を運営する大阪商運(大阪府摂津市)の青木幸弘社長も「大手にネームバリューで劣る中小事業者が人材確保で対抗するには、インターネットの活用が不可欠。求職者はスマートフォン(スマホ)で求人を出している事業者の情報を確認することが多く、そのような人向けに分かりやすいHPを作れば、多くの人に訴えかけることができる」と、インターネット活用の重要性を強調する。 トラックマンジョブは、2014年9月に開設したドライバー専門の求人サイト。採用できなければ掲載料を取らないシステムが評判を呼び、17年1月時点で全国200社、4千件の求人を掲載。給与、休暇といった待遇面で他社との差別化を図るのが難しい中、求職者からの募集が多い傾向があるのは、HPの内容が充実した企業だという。 青木氏は、管理者や職場の様子が分かる写真を使用すること、荷物の種類・具体的な拘束時間をできる限り細かく記載すること――をコツに挙げる。 「有料・無料を問わず、いろいろな媒体に募集を出すことが大切。求人は一期一会で、何がきっかけで目に留まるか分からない。多くの記事が並ぶ中、少しでも差別化できるように、自社の情報は最大限記載した方がいい」 一方で、地域の会社説明会など、直接求職者の顔を見て話せるイベントに参加する事業者もみられる。1月27日に開かれた高槻市、茨木市、摂津市、島本町による合同就職フェアでは、参加企業全36社中、物流事業者が6社参加。それぞれのブースで求職者と直に向かい合った。 説明会に参加した大輝物流(摂津市)の阪本佳延社長(44)は「摂津市のような物流事業者の集まる地域では、ドライバーの確保は特に難しい。合同説明会に参加するのは今回が初めてだが、求職者の方々の生の声を聴くことができる貴重な機会。すぐに成果が出るものではないと思うが、これからも積極的に参加していきたい」と話す。 【写真=地域の就職説明会などを活用】