両備G、ミャンマーに大型倉庫 低温流通網を強化
物流企業
2017/02/13 0:00
両備ホールディングス(松田久社長、岡山市北区)を中核とする両備グループ(小嶋光信代表兼CEO=高経営責任者)は、ミャンマー・ティラワ経済特区に大型冷凍・冷蔵倉庫を建設する。フロンを使用しない省エネ冷凍システムを採用し、最大で9温度帯に対応。付加価値の高い農水産物の輸出入の活性化を図る。同グループは、16年からベトナム・ホーチミンにも大型物流倉庫を稼働させており、今後もアジアでのコールドチェーン(低温流通網)を更に強化する。(江藤和博) 敷地面積は5万100平方メートル。倉庫は鉄筋コンクリート・鉄骨造り2階建てのスロープ式で、延べ床面積は3万4820平方メートルとなる。うち常温1万4960平方メートル、定温1170平方メートル(2室)、冷蔵2400平方メートル(3室)、冷凍1980平方メートル(3室)。また、事務所(1100平方メートル)のほかに食堂や休憩室、機械室などを設ける。4日に着工し、2018年5月に竣工する予定。 車両バースを53カ所設け、防塵(ぼうじん)・防虫・防鼠(ぼうそ)のドックシェルターを完備する。9温度帯の保管が可能で、保税機能を併せ持つ。ランプウェーを整備し、2階までトラックで上がることができる。冷媒としてフロンの使用が一般的なミャンマーで初となる省エネ冷凍システムを採用。年間で125トンのCO2(二酸化炭素)排出を削減する。 また、電力供給が安定しないミャンマーで安心な保管サービスを提供するため、48時間停電してもバックアップできる補助電源を設備する一方で、貸しオフィスを6室併設して荷主の業務効率化をサポートしていく。投資額は土地、建物を含めて29億7千万円。 両備グループはこれまでも、三井物産がヤンゴン市に開発した工業団地に進出を決め、現地での物流事業に乗り出そうとしたが、急な政情の変化により断念した経緯がある。最近になってミャンマーの経済が開放される中で、日本政府と日系企業の協力で港湾整備と後背地の開発が行われるとの情報を得て、ティラワ経済特区への進出を決めた。 交通・運輸を得意とする両備グループは、アジアにおけるコールドチェーンの確立を第一の事業目的としており、16年にはベトナム・ホーチミンで大型物流倉庫を稼働させている。冷凍・冷蔵倉庫が不足しているミャンマーに大型拠点を設けることで、事業目的の達成を目指す。 小嶋代表兼CEOは「新倉庫により、鮮度保持機能を高め、より清潔に、付加価値を維持して現地の農水産物を輸出することが可能になる。また、温度管理の必要な(日本などからの)輸入品を確保することで、ミャンマーの産業発展に寄与し、人々の暮らしを少しでも豊かにできればうれしい」と話している。 【写真=事務所のほかに食堂や休憩室、機械室などを設置(完成予想図)】