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三原運送、船舶類を全国に輸送 自社倉庫を来年建設

物流企業

2017/02/09 0:00

 【岡山】三原運送(熊谷久郎社長、岡山県笠岡市)は、ボートやクルーザー、小型漁船などの船舶類を全国に陸上輸送したり、旅行者向けの手荷物輸送サービスを手掛け、トラック業界において独自の地位を固めている。2016年8月には賃貸物件だった旧社屋を引き払い、笠岡市内陸部の有田に自社所有の社屋を建設。18年には敷地を拡張して新倉庫も建設する計画だ。(江藤和博)  船舶類を輸送できるトラック事業者は全国的にも珍しく、インターネットを通じた依頼が多い。顧客は不特定多数となるため、運賃の振り込みを確認した上でサービスを提供する。この事業は、船舶の買い取り事業を行う国内企業と提携して始めたもので、平ボディー6台を投入している。  16年はネットを見た顧客が、韓国・釜山までの運搬を頼んできた。下調べの段階で釜山まで一貫して輸送するのは難しいことが分かったが、福岡県までの陸上輸送は自社で手掛け、福岡から釜山までの段取りを手配した。  東日本大震災では、被災地の漁船が大きな被害を受けた。後継者のいない西日本の漁師が不要になった小型漁船を無償で提供する支援を行った際に、漁船の輸送を引き受け、被災地の漁業の復興に貢献した。  一方で、イベントや旅行関連の輸送サービスにも力を入れている。企業などの研修に使う機材をホテルなどの研修施設に持ち込んだり、中学・高校生の吹奏学部の楽器、各種クラブ活動の遠征機材の輸送も行う。また、修学旅行や社員旅行、外国人団体旅行などを対象に、旅行前日または当日朝、集められた手荷物を宿泊地のホテル・旅館にチェックインまでに輸送している。近年は外国人団体旅行者が増えており、底堅い需要があるようだ。  こうした特色のある事業を展開する同社だが、取扱品目を特化しているわけではなく、実態はむしろその逆だ。  熊谷社長(54)は「スマートフォン(スマホ)の部品や食品など多種多様な荷物を扱っており、荷主は約380社いる。一方で、当社が輸送を依頼する協力会社は250~260社に上る。船舶の輸送は制約が多いのも事実で、これからネットワークを生かして新規ビジネスを開拓していきたい」と話す。  16年8月に完成した新社屋は、敷地面積4300平方メートル、平屋建ての事務所は床面積38平方メートル。敷地内には車庫と整備用のピットも備えている。隣接する3630平方メートルの敷地も購入しており、土地造成を行って18年には倉庫を建設する計画だ。これまで保管サービスも行ってきたが賃貸の倉庫で対応しており、自社倉庫を完備することで荷主のニーズに幅広く応えていく構えだ。  保有車両は20台で、17年中に2台増車の予定。16年12月期の売上高は4億7千万円。保有台数に比べて売上高が大きく、収益力の高さが際立つ。配車担当者は4、5人おり、今後も効率化を進めて、売上高5億円を突破するのが当面の目標だ。  安全面では、安全会議を毎月開催し、運転技能はもちろん、荷役技術やマナー、整備技術など多方面の講師を交えて指導・教育を徹底。また、全車にデジタルタコグラフ、ドライブレコーダー、アルコールチェッカ―を装備して事故防止に努めている。  1961年に創業、78年設立の同社は笠岡地区でも老舗のトラック事業者に入る。新社屋への移転を機に一層の品質向上を図り、サービスの間口を広げてオンリーワン企業を目指していく。 【写真=新社屋の敷地内には車庫と整備用のピットも備える】





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