全日本ライン、青果流通データベース化 配送効率&積載率を向上
物流企業
2017/02/06 0:00
全日本ライン(下戸章弘社長、東京都千代田区)は今春から、親会社のファーマインド(堀内達生社長、同)と連携し、青果の流通経路をデータベース化するプロジェクトに着手する。ドライバーや倉庫作業員の確保が困難となりつつある中、青果の輸配送情報を総合的に把握。これを土台に配送効率や積載率の向上につなげて利益改善を図り、株主や社員に還元するとともに、協力会社と共に発展するための原資に充てる。(沢田顕嗣) バナナをはじめとする青果は、コールドチェーン(低温流通網)など高い品質水準を要求される。少子高齢化でマーケットが縮小する中、近年は産直や市場外流通の拡大に加え、コンビニエンスストアとドラッグストアでも青果をラインアップ。青果を取り扱う店舗の数が増加するのに伴い、1店舗当たりの納品数量は減少傾向が続いている。 こうした社会状況や流通構造の激変を受け、「情報を集めたところが、最も効率良く運ぶことができる」(下戸社長)と、今後の指針を規定。青果は温度や鮮度の管理、時間など制約が厳しく、効率的な物流を構築するのが難しいことから、「ファーマインドグループが流通実態を把握する先頭に立つ」構えだ。 全日本ラインの配送拠点はもちろん、ファーマインドの運営センター及び同社の顧客も含めて情報を収集し、トータルロジスティクスの設計を推進。ファーマインドグループの情報を蓄積することが先決となるが、将来的には国産、外国産を問わず、国内で流通する青果の情報を全て網羅したい考え。これにより、「真に効率的な配車やコスト削減が可能になる」としている。 このほか、ドライバーの定着・確保を図る施策の一環として、従来は無償で請け負っていた積み下ろしなどの付帯作業を有料化する交渉を、2016年12月期でほぼ完了。今期は相模原営業所(相模原市中央区)でもIT(情報技術)点呼を開始し、先行する3拠点(札幌、神戸、福岡)と合わせた全4拠点での実施に踏み切る。 下戸氏は「売り上げはあまりこだわらないが、利益は率と額のいずれも重視している。これまでに不採算事業からの撤退など様々な手を打ってきたが、効率化の余地はまだ残されている」と指摘。 その上で、「物流をトータルに、面で捉えていくことが大事。ファーマインドは大半の量販店にバナナを運んでいる。この強みを生かすことにより、いずれは全国の青果の流れをつかみたい。併せて、今年度は人事制度の見直しも予定している。よりクリーンで魅力のある会社にし、社員の頑張りに報いていきたい」と話している。 【写真=バナナなど青果の輸配送事業を更に深化】