国交省、建物の物流最適化 5カ所8件調査 搬出入や納品ピーク分析
行政
2017/02/02 0:00
国土交通省は1月25日、大型商業施設やオフィスビルなどの建物で物流を最適化するためのガイドライン策定に向け実施した、5カ所8件のサンプル調査の結果を公表した。物流事業者からの提供データと現地での貨物車の実態調査によるデータを加味し、品目別に搬出入・納品のピークや駐車時間などを集計・分析している。 同日開催した「物流を考慮した建築物の設計・運用検討会」(苦瀬博仁座長、流通経済大学教授)で、事務局の総合政策局物流政策課が報告した。サンプル調査は、1月末までに10カ所程度の施設で実施。1月16日時点で、東京都内5カ所で八つの建物を調査しており、うち3カ所4件については事業者からデータを提供してもらい、現地調査を済ませている。 車両(駐車)台数は、荷さばき駐車場に停車した車両を午前7時~午後7時の15分刻みで集計。商業・飲食が中心の商業施設は総じて早朝~正午がピークとなるが、建物によってバラツキがある。一方、事務所(オフィス)、事務所とホテル併設の建物は、おおむねピークが分散している。 納品件数(納品書の受領時)についても同様に調査。ピークはおおむね午前7時台~9時台に集中しているものの、駐車時間に比べてメリハリがみられる。 また、施設所有者や設計者、物流事業者など関係者にとって有効なものとするため、ガイドラインにはベストプラクティス(好事例)に基づく設計、運用上の留意事項、アドバイスを盛り込む。 例えば、荷さばき用の駐車スペースで、テールゲートリフターを使う作業では邪魔になる車止めブロックについて、汎用性(はんようせい)を考慮して「無い方が良い」、積み下ろし後に台車などで館内へ運ぶ際は開閉式ドアでは手間が掛かるため「自動の引き戸が望ましい」といった点を記述することになりそうだ。 更に、これら設備面での対応は、改修ではコストも手間も掛かることから、設計時に留意するよう求めていく。 次回会合では、未実施の建物も加え全てのサンプル調査の結果を提示するとともに、ガイドラインの策定に向けた検討に着手する予定だ。 (田中信也)