物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

シモハナ物流、文書保管を電子化 「ワンストップ」展開

物流企業

2017/01/16 0:00

 シモハナ物流(下花実社長、広島県坂町)は2016年から、紙の文書の保管だけでなく電子化やデータ管理、機密抹消まで文書に関わる全てのサービスをワンストップで提供する「eDocファイリング」事業を本格展開している。中国電力のグループ会社、エネルギア・コミュニケーションズ(エネコム、熊谷鋭社長、広島市中区)と提携し、同社が12月にJR広島駅直近に完成させた中国地方最新鋭の「EneWings広島データセンター」を活用し、中国・四国地方の金融・医療機関や自治体などの需要を掘り起こしていく。(江藤和博)  保管文書の電子化は、紙文書の保管コストが割高な関東でようやく進んできたが、地価の安い地方は出遅れている。3年前から文書保管に注力してきたシモハナ物流も紙文書の扱いが中心だった。しかし、大規模地震の発生でBCP(事業継続計画)の重要性が高まり、個人情報保護法など法整備も進み、環境が変化してきたことから、電子化に積極的に取り組むことにした。  エネコム広島データセンターは、震度7クラスの地震にも耐える建物基礎免震構造で、停電時の電力確保にも万全の体制を敷いている。このセンターを活用する電子化業務(電子化作業や電子媒体保管は全てドキュメントセンターで取り扱う)は、文書をスキャニングによりPDFにしたり、DVDやハードディスクなどの電子メディアにして属性ごとに分類し保管。顧客は、情報漏えいの心配が無い専用回線でいつでも検索・閲覧できる。また、保管期限を文書やメールで通知し、顧客は複数の拠点間の情報共有が可能だ。  紙の文書はシモハナ物流が自社トラックで引き取り、ドキュメントセンター(倉庫)に保守・保管。万全のセキュリティー設備を導入し、入室は特定の社員しかできない。顧客は必要になった文書をいつでも取り出してもらうことができる。また、保管期限の切れた文書は溶解処理して再生紙としてリサイクルし、機密抹消証明書を発行する。  文書・情報事業部ドキュメントセンターの山城千佳子所長は「リサイクル業者に頼めば安く済むが、顧客自身が仕分けをしなければならないことも多く、情報の流出や誤廃棄もあり得る。当社では、それらのリスクを大幅に軽減する」とアピールする。  また、電子化について、「自前で文書のデータ保管・管理を試みる企業もあるが、ソフトや複合機、スキャナーなど必要な機材は多く、人手やコストが掛かるだけでなく、社内にある様々な文書をどのように管理するかに困って途中で挫折するケースも多い」と指摘。その上で、「発生から廃棄までカバーする当社のワンストップサービスであれば、費用の金額が一桁違ってくる」と強調する。  文書保管・管理のアウトソーシング(外部委託)は、本業に経営資源を集中できるのが大きなメリットだ。先進国の米国では、電子化を進めることで文書データ管理に必要な設備や人員を削減し、経営効率を向上させている。日本のホワイトカラーの生産性が低い理由として、この分野の立ち遅れがよく挙げられるが、その中でも「中四国は更に遅れているエリアだけに、需要はある」とみている。  シモハナ物流では、オフィス改善プロジェクトも手掛け、レイアウト変更や移転を請け負っている。足回りと保管場所を持つ強みを生かしながら、eDocファイリング事業と連携させることでサービスの間口を広げていく構えだ。  山城氏は「一つのプラットフォームでいろいろなサービスを提供していきたい。将来はBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)やIoT(モノのインターネット)につながり、未来に開けていくビジネスだ」と話している。 【写真=溶解処理機をドキュメントセンターに導入】





本紙ピックアップ

出版業界、適正原価義務化に危機感

 出版・印刷・製本・取次・書店業界が、トラック新法で規定され3年以内に施行される、運賃・料金の適正原価の義務化に危機感を強めている。出版不況の下、多くの出版社は出版物の大幅な値上げに踏み切れず、出版物関係の運賃は他業界と…

国交省/次世代ターミナル形成、システム導入へ指針策定

 国土交通省は、ICT(情報通信技術)などを活用した内航フェリー・RORO船ターミナル(次世代高規格ユニットロードターミナル=ULT)の形成に向け、内航フェリー・RORO船ターミナルのシャシー・コンテナ位置管理などシステ…

中国運局と公取委中国支所、初の合同荷主パト

 中国運輸局と公正取引委員会中国支所は17日、トラック・物流Gメンと下請課による合同パトロールを行い、広島市西区の荷主企業や荷主の業界団体を巡った。両者の連携による取り組みとして、トラックドライバーに聞き取り調査などを行…

物流企業のMBO、業界の構図変える契機か

 上場企業のMBO(経営陣が参加する買収)が増加傾向にある。物流企業も例外でなく、最近はエスライングループ本社(山口嘉彦社長、岐阜県岐南町)、トランコム(神野裕弘社長、名古屋市東区)、日新(筒井雅洋社長、東京都千代田区)…

オススメ記事

出版業界、適正原価義務化に危機感

 出版・印刷・製本・取次・書店業界が、トラック新法で規定され3年以内に施行される、運賃・料金の適正原価の義務化に危機感を強めている。出版不況の下、多くの出版社は出版物の大幅な値上げに踏み切れず、出版物関係の運賃は他業界と…

国交省/次世代ターミナル形成、システム導入へ指針策定

 国土交通省は、ICT(情報通信技術)などを活用した内航フェリー・RORO船ターミナル(次世代高規格ユニットロードターミナル=ULT)の形成に向け、内航フェリー・RORO船ターミナルのシャシー・コンテナ位置管理などシステ…

中国運局と公取委中国支所、初の合同荷主パト

 中国運輸局と公正取引委員会中国支所は17日、トラック・物流Gメンと下請課による合同パトロールを行い、広島市西区の荷主企業や荷主の業界団体を巡った。両者の連携による取り組みとして、トラックドライバーに聞き取り調査などを行…

物流企業のMBO、業界の構図変える契機か

 上場企業のMBO(経営陣が参加する買収)が増加傾向にある。物流企業も例外でなく、最近はエスライングループ本社(山口嘉彦社長、岐阜県岐南町)、トランコム(神野裕弘社長、名古屋市東区)、日新(筒井雅洋社長、東京都千代田区)…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap