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国交省、商業施設をサンプル調査 物流最適化 指針策定むけ

行政

2017/01/16 0:00

 国土交通省は、大型商業施設やオフィスビルなどでの物流最適化のガイドライン策定に向け、1月末までに商業施設などのサンプル調査を10カ所程度実施する。施設所有者・管理者と物流事業者の双方に有効な内容とするため、搬出入車両の台数や取扱品目、届け先など用途・時間帯別の定量的データに加え、運用上の工夫なども盛り込む方針。17年度末までの取りまとめを目指す。(田中信也)  調査では、用途・時間帯別のデータを把握するため、施設での物流業務の実態をサンプリングする。12月28日に開催した、関係事業者・団体、学識経験者らによる「物流を考慮した建築物の設計・運用検討会」(苦瀬博仁座長、流通経済大学教授)の会合で、20日に東京都内の商業施設で実施した1回目の調査の結果を事務局の総合政策局物流政策課が報告した。  対象となった建物は、事務所部分を含め延べ床面積10万平方メートルで、東京23区西部に立地する物販や飲食の店舗などで構成される商業施設。荷さばき駐車場は12台分で、搬入口の高さ制限が3.4メートル。建物内の物流業務は、館内物流を行う専門集配業者に、宅配を中心とした30社が全ての作業を委託。このほかの事業者は、建物内の顧客に直接集配(直納)している。館内物流と直納の比率は、件数ベースで2対8となっている。  車両台数については、午前7時~午後7時に荷さばき駐車場に停車した車両を15分刻みで集計した。全体的には午前8時~11時が最も混雑したが、飲食店向け(直納)のピークは早朝~正午、午後1時~夕方(午後5時台)の2回。物販向けは午前7時台~10時台、午前11時台~午後1時台、午後2時台~3時台の3回となった。一方、館内物流は「ピークを調整している」ため、ほとんどの時間帯で一定的な頻度になるなど、用途によって傾向の違いがみられた。  また、搬出入車両の車高に関しても調査を行い、2.0メートル未満が半数弱、2.7~2.9メートルは3分の1強と、双方で大半を占めていることが分かった。  検討会では、施設の管理側である三菱地所の荒木治彦丸の内開発部長と日本百貨店協会(大西洋会長)の西田光宏常務が運用の実態などを報告。その上で、ガイドラインの策定に向けて留意すべき事項を提起した。  荒木氏は、大手町・丸の内・有楽町(大丸有)地区での取り組みを中心に、館内物流の概要などを説明。ガイドラインについては「実質的な規制ではなく、設計上参考となる『手引き』と位置付け、地域特性に応じた対策を例示し、用途や物流量に応じた内容」にするよう求めた。  一方、西田氏は「店舗面積とバース数のバランスが悪く、店舗裏のパーキングメーターを使用する場合がある。また、搬入ルートと社員通用口が同一で危険」などと指摘。運用上の工夫として①納品車両のダイヤグラム作成②直納から納品代行へのシフト③フロア別の商品仕分けの実施――などの重要性を強調した。  委員との意見交換では「規模や搬入車両の高さといったスペック(仕様)以外にも、荷さばきスペースのレイアウトや設備の改良、荷物を効率良く回転させる手法といった運用面の工夫もガイドラインに盛り込むべき」との提案があった。  サンプル調査は東京都以外の地区を含め、1月中にも10カ所程度で実施するが、委員からの指摘を踏まえ、運用上の工夫についても関係者から聴取。その上で、ガイドラインに盛り込む内容を次回、次々回の会合で精査していく。  なお、ガイドラインは、施設を企画する段階で車両の大きさや駐車台数の規模感、建物内の動線など物流に関する諸条件をインプットし、基本設計段階では駐車台数の算出ツールを提示することをイメージしている。 【写真=東京都内の商業施設で実施した調査結果を物流政策課が報告】





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