中川運送会長/中川才助氏、香の世界に魅せられて 心身ともリフレッシュ
物流企業
2017/01/12 0:00
【大阪】「慌ただしい日常を離れ、お香の奥深い香りに触れていると、時間がゆったり流れるようで、心身共にリフレッシュできる」と語るのは、中川運送(中川晃一社長、大阪市此花区)の中川才助会長(72)。自宅の応接間に通されると、上品でかぐわしい香りが心をゆったりとさせてくれる。 お香に興味を持ったのは、1988年に奈良市で開催された「なら・シルクロード博覧会」に出掛けた時、土産に香木を買い求めたのがきっかけ。長い時間をかけて出来上がった不思議な香りの世界に、たちまち心をひかれた。 「もともと凝り性なので、様々なお香の原料について調べたり、歴史を学んだりするうちに、自分で調合し好みの香りを作り出す楽しさを知った」 上質な香木は高額で取引されるため、国内の専門店で買い求めると非常に高く付くことも。しかし、原産地のインドネシアやタイ、マレーシアなどに出向くと、驚くほど安い値段で購入できた。ただ、現地のブローカーの中には、ずる賢い人もいる。偽物や粗悪品をつかまされないよう「目利き」ができなくてはいけないが、「そうした駆け引きも、また楽しい」。 調達した原木は、そのままではお香にならない。香気成分を多く含む上質な部分を、ナイフや彫刻刀で丁寧にトリミング。細かく刻む時にも機械ではなく、漢方薬の調合に使用する薬研(やげん)で時間をかけて丁寧に加工しないと、かぐわしい香りは生まれない。一つひとつが根気のいる作業だ。 「香木の加工に夢中になり、気が付けば夜が更けていた――なんてこともある」と笑う。 地元の自治会では、香木を使った「匂い袋」の作り方教室の講師も務める。「心を癒やし、時には奮い立たせ、そして日常生活を豊かにするお香を、これからも気軽に楽しんでいきたい」(小菓史和) 【写真=自分で調合し好みの香りを作り出す楽しさを語る中川氏】