九ト協、下関北九州道早期実現へ 国への働き掛け継続
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2017/01/02 0:00
【福岡】九州トラック協会(眞鍋博俊会長)は、福岡県北九州市と山口県下関市の関門海峡を結ぶ「下関北九州道路」の早期実現に向け、地元の政財界と連携し、要望活動に乗り出した。物流の活性化や大規模災害時の代替道路として極めて緊急性が高く、「物流の未来をつなぐ重要な道路」と位置付け、国への働き掛けを継続していく。(武原顕) 既存の関門トンネル及び関門橋は供用開始から40年以上が経過し、老朽化が進む。国は1992年、全国の海峡横断プロジェクトの一つとして基礎的調査に着手した。ところが、2008年に政府が財政難を理由に事業を凍結し、調査は進んでいない。 16年12月、下関北九州道路整備促進期成同盟会(村岡嗣政会長)が、北九州市で「下関北九州道路整備促進大会」を開き、福岡県議会では超党派の議員連盟が発足するなど、政財界の動きが活発化している。 九ト協では「本州と九州を結ぶ結節点として要衝である」と位置付け、東日本大震災、熊本地震など大規模災害でサプライチェーン(供給網)が寸断された場合の一極一軸型の国土形成の脆弱(ぜいじゃく)性を指摘。 また、関門橋を通るには、車両総重量44トン超、車両長21メートル超の特殊車両通行許可が得られない。このため、橋の強度を含めた通行制限の緩和を求めている。福岡県トラック協会(眞鍋会長)の増田康雄副会長(67)は「物流活性化への効果は大きい」と三つ目のルートの早期実現へ期待を寄せる。「現行の2ルートは補修・改修工事が多く、コストも膨れ上がるばかりではないか。悪天候や交通事故による通行制限が長時間に及ぶことも少なくない。道路幅も狭く、大型車両の走行は危険な状況にある」と指摘する。供用開始から、関門橋が42年、関門トンネルは58年経過している。 下関北九州道路整備促進期成同盟会及び下関北九州道路建設促進協議会(麻生泰会長)によると、関門トンネルの通行止め時間は、全国の高速道路でワースト1位(14年度)で、工事で1440時間、事故によるものは49時間だった。 更に、トラック運送事業者に実施したアンケート(16年3月)では「大雪で関門橋が通行止めになり、関門トンネルへの迂う回かいを検討したが、特車許可を取得していなかった」「関門橋の通行止めで、四国の物流センターへの納品が間に合わず、輸送後に食料品を返品され、多大な経済的損失が発生した」などの事例を取り上げている。 11年11月30日、北九州市小倉北区日明港と山口県下関市を結んでいた関門海峡フェリーが運航休止となり、5年が過ぎた。このため、長距離フェリーで遠回りの航路を利用しているケースも少なくない。関門海峡フェリーは総重量60トンまで乗船できる唯一の選択肢だった。 石井啓一国土交通相は16年11月16日の衆院国土交通委員会で、下関北九州道路について「ゼロベースで必要性を再検討する必要がある」と述べ、調査再開の可能性を示唆した。 三つ目のルートとして、北九州市小倉北区西港町と下関市彦島迫町を結ぶ地域高規格道路などの案が浮上しているが、「現時点で、公表している以上の具体的なことは決まっていない」(福岡県県土整備部道路建設課)という。 下関北九州道路建設促進協の調査では、関門トンネル及び関門橋が大規模災害で交通遮断された場合の経済的な損失額は1年間に14兆円(間接被害のみ)と試算している。 こうした現状を踏まえ、九ト協は11月中旬から九州運輸局、地元選出の国会議員、県及び市会議員に会い、調査を実施し、実現への具体的な方策検討に必要な予算確保を求めている。 【写真=供用開始から40年以上が経過し、老朽化が進む関門橋】