国交省/運賃料金検討会、問題の「診断図」提示 規制緩和で営業力弱く
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2016/12/22 0:00
国土交通省は19日までに、トラック事業者の運賃・料金収受の実態や、その原因を把握するため全国のトラック事業者を対象に実施するアンケートの質問内容を決定した。「原価計算に基づく運賃設定」「目安となる標準運賃または下限運賃を国が設定」「付帯作業などのコストを運賃と別建てで設定」など15項目から「効果がある」ものを回答してもらう一方、「支障がある」対応を聞き、必要な取り組みを整理。これを参考に、今後の運賃・料金の在り方の方向性を固める。(田中信也) 14日開いたトラック運送業の適正運賃・料金検討会(藤井聡座長、京都大学大学院教授)の会合で、自動車局貨物課がアンケートの設問案を提示。トラック事業者や荷主企業の代表、有識者らで構成する委員が精査の上、19日までに最終決定した。 アンケートは、都道府県トラック協会の役員のほか全国の青年部組織のメンバーとその周辺事業者、更に全日本トラック協会(星野良三会長)が実施している景況感調査の対象者を合わせ1780~1800社に、郵送とウェブで回答を求める。年末までに回答票を送付するとともに、専用のURLを送信。2017年1月下旬までに回収する。 事業者側委員からの「運ぶ荷物により実態が異なる」との指摘を踏まえ、設問ではまず、実運送で取り扱っている「輸送品目」と「売上高の一番高い輸送品目とその割合」を答えてもらい、荷物の傾向をみる。 その上で、「直接取引する荷主の分類」(一般貨物事業者、特別積合せ事業者、真荷主、利用運送事業者など)、「元請けか下請けか」「(下請けならば)何次請けか」といった取引の基礎情報を得る。 また、「コスト分を適正収受できているか」を尋ねた上で、燃料サーチャージや車両留置、付帯業務、高速道路料金といったコストが「運賃に含まれているのか別建ての料金か」を質問。「運賃・料金の決定方法」については「原価計算に基づいて」いるか、それとも「取引先の提示ベース」、あるいはかつて国が示していた「運賃・料金表(タリフ)」によるものかを把握する。 更に、契約の書面化の有無を聞いた上で、「口頭での取り決め」となっている理由、書面化されているケースでは「どうやって実現できたか」そのコツを答えてもらう。適正な運賃・料金が収受できている、またはできていない原因を把握するため、「十分な運賃・料金の収受」に有効な施策や取り組みの事例として、①原価計算に基づき運賃を設定②国が目安となる標準運賃を提示③国が目安となる下限運賃を提示④国が下限運賃を提示し、違反があれば変更を命令⑤付帯作業費・高速代などを運賃と別建てで収受できる環境の構築――など15項目を提示した。 各項目について「とても効果がある」「効果がある」「少しある」「全くない」「支障がある」の5段階で評価を求めた上で、その中から特に効果のある3項目を選ぶ方式。一方、「支障がある」と評価した項目のうち、特に支障のある2項目については、その理由の記入も求める。 そのほか、安全や環境対策、人件費を賄えるだけの運賃・料金が収受できているか、また書面化や荷主との適正取引の推進といった、国が作成したガイドラインの認知・活用状況、自社の経営状況や所属ドライバーの平均賃金・労働時間、賃金変更(賃上げ、賃下げなど)の実績などについても回答を求める。