環境省、フロン規制検討へ初会合 回収率向上策や税制
行政
2016/12/22 0:00
環境省は13日、冷凍冷蔵倉庫などで使用され、温室効果のあるフロン類に関する規制などを検討する会合を立ち上げた。機器廃棄時の回収率向上に向けた対策を検討するとともに、フロン類の製造メーカーに課す「フロン税」など経済的手法も議論。世界的に「脱フロン」の流れが加速する中、省エネ型自然冷媒機器の導入を促すなど国内での対応を急ぐ。 同日、フロン類対策の今後の在り方に関する検討会(西薗大実座長、群馬大学教授)の初会合を開催。フロン類に関する現行制度を分析し、今後の対策に反映させる。関係者へのヒアリングなどを通じ、2016年度中に取りまとめる。 「脱フロン」の流れは国際的に進む。オゾン層破壊効果の高い特定フロン(HCFC)について、先進国は20年までに全廃しなけれなばらない。HCFCの代わりとして利用される代替フロン(HFC)も温室効果が高いため、段階的に削減・廃止していく方針が決まっている。 こうした流れを受け、日本でも15年4月にフロン排出抑制法が施行され、業務用機器の適正な管理が求められた。冷凍冷蔵倉庫や冷凍冷蔵車などで二酸化炭素(CO2)を1千トン以上漏えいさせた場合、企業は漏えい量を国に報告しなければならない。 また、機器の廃棄時には特定の業者に回収を依頼する必要があるが、この回収率が向上していない。15年度時点で38%で、10年以上3割前後で推移。国は20年度に回収率50%、30年度に70%の目標を掲げる。 検討会では、回収率が低迷する要因を分析するとともに、迅速な対策に向けた議論を進める。企業が漏えい防止策を行う上での基準策定も検討課題だ。横断的な取り組みとして経済的手法もテーマ。手法の一つとしてフロン税の導入が挙がる。 フロン税は、課税対象となる冷媒用フロンを製造するメーカーが対象で、以前から検討課題になっていた。現行の地球温暖化対策税の税率を基にフロン類に適用。年間200億円程度の税収を見込み、その使い道として、自然冷媒機器の導入補助などを想定している。 ただ、冷媒メーカーに課税すると、機器への価格転嫁などで企業の導入負担は増える。同時に、税収の使い道が不明確な点も指摘されていた。 会合では、委員から「税収は廃棄時回収に充てるべき。フロンの排出率は高いのに、税制度が無いのはどうなのか。検討すべきだ」との意見が上がった。(土屋太朗) 【写真=年度内に取りまとめ】