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ダブル連結トラック実験開始 省人化や安全性検証 鈴鹿―群馬 ETC2.0でデータ収集

行政

2016/11/28 0:00

 国土交通省は22日、省人化や生産性向上などを目的としたダブル連結トラック実験をスタートさせた。参加事業者は日本梱包運輸倉庫(黒岩正勝社長、東京都中央区)で、同社の鈴鹿センター営業所(三重県鈴鹿市)を21メートルの連結トラックが出発した=写真。また、高速道路のパーキングエリア(PA)でドライバーが交代する、中継輸送実験も実施した。(星野誠)  実験は、特殊車両通行許可基準の車両長を、現行の21メートルから大25メートルまで緩和するために行うもので、ドライバー不足が深刻化しているトラック輸送の、省人化促進が目的。主な検証項目は、省人化効果、車両の安全性、交通流や道路構造への影響などで、次世代型自動料金収受システム「ETC2.0」も活用しながら、分析に必要なデータを収集する。  中部地方整備局の翠(みす)昭博交通対策課長が「国交省は2016年を『生産性革命元年』とし、労働者の減少を上回る生産性向上を図っている。トラック事業は深刻なドライバー不足で、50歳以上が4割を占める。当実験は、将来の隊列走行や自動走行も見据え、一人でトラック2台分を輸送可能にするもので、18年度の特車基準緩和を目指している」とあいさつした。  日本梱包運輸倉庫の松島孝之執行役員は「我が社は14年2月、21メートル連結トラックの運行を開始し、実績を重ねてきた。車両を使った訓練など教育を徹底し、経験値が豊富なドライバーを乗務させることで、事故も起こしていない」と強調。更に、「省人化はもとより、二酸化炭素(CO2)排出量削減などの環境対策もあって、今回の実験に参加した。通常の大型トラックと比べ、21㍍連結トラックはCO2排出量を37%削減できる。25メートルの場合は、40%以上の削減が見込める」と説明した。  鈴鹿センター営業所を出発した連結トラックは、寄りの鈴鹿インターチェンジ(IC、鈴鹿市)から東名阪自動車道に入り、伊勢湾岸自動車道を経由し、主たる実験場所となる新東名高速道路を走行。首都圏中央連絡自動車道や関越自動車道などを通り、群馬営業所(群馬県太田市)へ向かった。総走行距離は489キロメートル。  中継輸送実験も併せて行われた。22日早朝、目的地の群馬営業所からも別の連結トラックが出発し、2台は中継地となる新東名の清水PA(静岡市清水区)で合流。ドライバー2人が交代してそれぞれ出発地に折り返し、車両のみ目的地に向かう形を取った。  翠氏は「鈴鹿―群馬を同じドライバーが運転すると泊まりにならざるを得ないが、交代して折り返せば日帰り運行になる。身体的負担の軽減になり、労働時間も管理しやすくなる」と話した。





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