物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

道東道無料区間、Uターン時間「負担大」 北ト協 制度欠陥の改善要請

行政

2016/11/21 0:00

 今夏の台風の影響で通行止めが続いている国道274号の代替措置として、道東自動車道の一部区間が無料化されてから2カ月が経過したが、無料区間内で乗り降りしなければ「無料」にならないため、両端にあるインターチェンジ(IC)に車が集中し、事故や渋滞が発生している。大型車の場合、ICを降りて近くの「道の駅」でUターンして戻るまで往復1時間近くかかるため、ドライバーに余計な負担が掛かっている。こうした状況を受け、北海道トラック協会(伊藤昭人会長)は国や高速道路会社に代替措置制度の欠陥を指摘し、改善を求めている。(那須野ゆみ)  代替措置は9月1日から占冠IC―音更帯広ICでスタート。国道38号の開通に伴い区間を短縮し、10月14日からは占冠IC―十勝清水ICが無料となった。  北海道開発局によると、10月14日から31日までに占冠ICを出入りした車両は前年の6倍に増加。しかし、無料区間以外のICから利用する場合、代替措置を受けるためには、無料区間のICでいったん降りてUターンし、再度、ICに入らなければならない。このため、国道や私有地でUターンする車や、料金所を出てすぐ反対車線に回る一般ドライバーが後を絶たない。更に、大型車の場合、ICを降りて「道の駅」でUターンする例が多く、往復に1時間近くかかっている。  本格的な降雪期を迎え、高速道路と周辺地域の安全を確保するため、道開発局と関連する自治体や団体などによる初の安全対策会議が11月14日、占冠村で開かれた。道内の物流業界を代表して、北ト協から鎌倉壽一常務と下屋敷彰総務部次長が出席した。  会議で、鎌倉常務は「ユーザーの立場から言うと、国道が不通となって高速道路を利用するしかない状況で、無料措置が適用されるように通行(Uターン)するのは当然。制度上の欠陥であり、幅広く議論すべき。ラバーポールを設置してもUターンは無くならないし、根本的な解決にはならない」と発言した。  また、ある行政担当者が「Uターンをしている者は『ズル』(マナー違反)であり、対策が必要」と発言したのに対し、地元観光協会の役員から「無料措置区間を設定したのだから、利するためにICで乗り降りするのは当然であり、ズルではない」と反論する一幕もあった。  開発局は、会議メンバーの連名によるチラシ配布でマナーの徹底を呼び掛ける方針を提案したが、参加者から「積雪による事故が心配。Uターンしやすい場所をつくって欲しい」「ICで乗り降りを必要としない議論もすべき」などの異論が相次ぎ、一致した対策を打ち出せなかった。  無料区間の問題については、北ト協の伊藤会長が、月、国土交通省道路局や東日本高速道路北海道支社に資料を持参し、制度の欠陥について理解を求めるとともに、「ETC装着車はICで乗り降りしなくても占冠―十勝清水を無料に」と要請。11月13日には、道の高橋はるみ知事にも理解と協力を伝達している。 【写真=国道237号では、占冠ICから道の駅方面に向かってUターンする先頭車両を待って渋滞が発生】





本紙ピックアップ

暫定税率廃止法が成立

 ガソリン税(揮発油税)の暫定税率廃止法が11月28日の参院本会議で可決、成立した。ガソリン税での12月31日の廃止を規定するとともに、軽油引取税でも2026年4月1日に廃止することや、軽油の旧暫定税率廃止に当たって運輸…

農水省「備蓄米放出」、倉庫会社に保管料支援

 農林水産省は、政府備蓄米の放出に伴い本来の保管料を収受できなかった倉庫会社への支援を決めた。2025年度末までの保管料に加え、当初見込んでいなかった運送費用や、出庫を急いだことで生じた経費を支援する。その上で、同省は備…

車体課税見直し報告書、自治体の財源維持を

 総務省が設置している地方財政審議会の自動車関係税制のあり方に関する検討会(小西砂千夫座長、地方財政審議会会長)は11月21日、自動車の車体課税の見直しに当たって報告書を取りまとめ、地方自治体の財源として、引き続き重要な…

自動運転「L4」実用化PT、導入ガイドブック公開へ

 レベル4(L4、特定条件下での完全自動運転)トラックの2030年ごろの実用化に向け、大型車メーカー、大手物流事業者などで構成するプロジェクトチーム(PT)は、技術開発と走行環境の整備に向け、新東名高速道路で総合走行実証…

オススメ記事

暫定税率廃止法が成立

 ガソリン税(揮発油税)の暫定税率廃止法が11月28日の参院本会議で可決、成立した。ガソリン税での12月31日の廃止を規定するとともに、軽油引取税でも2026年4月1日に廃止することや、軽油の旧暫定税率廃止に当たって運輸…

農水省「備蓄米放出」、倉庫会社に保管料支援

 農林水産省は、政府備蓄米の放出に伴い本来の保管料を収受できなかった倉庫会社への支援を決めた。2025年度末までの保管料に加え、当初見込んでいなかった運送費用や、出庫を急いだことで生じた経費を支援する。その上で、同省は備…

車体課税見直し報告書、自治体の財源維持を

 総務省が設置している地方財政審議会の自動車関係税制のあり方に関する検討会(小西砂千夫座長、地方財政審議会会長)は11月21日、自動車の車体課税の見直しに当たって報告書を取りまとめ、地方自治体の財源として、引き続き重要な…

自動運転「L4」実用化PT、導入ガイドブック公開へ

 レベル4(L4、特定条件下での完全自動運転)トラックの2030年ごろの実用化に向け、大型車メーカー、大手物流事業者などで構成するプロジェクトチーム(PT)は、技術開発と走行環境の整備に向け、新東名高速道路で総合走行実証…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap