寺本運輸倉庫、危険物輸送・保管に特化 システム刷新誤出荷なしへ
物流企業
2016/11/21 0:00
【兵庫】寺本運輸倉庫(寺本雅明社長、兵庫県尼崎市)は、危険物の少量多品種輸送・保管に特化し地域密着型の物流事業者として営業の拡大を図っている。従業員への安全教育徹底だけでなく、倉庫管理システムを強化し、誤出荷の無い、信頼できる企業を目指す。(蓮尾輝) 1956年に、寺本社長(37)の祖父で現会長の寺本貴至氏(87)が創業。70年に営業倉庫許可を取得し、危険物を扱う物流事業者として売り上げを伸ばしてきた。現在は本社を含む八つの事業所を構えており、このうち6カ所は尼崎市内に設置、地元に根付く企業として事業を展開している。 寺本社長は、同業他社で営業経験を積んだ後、2008年に入社。6年後には社長に就任し、すぐさま業務見直しに着手した。通関業をはじめ、採算の取りづらい事業を整理。創業以来メインとして取り扱っている危険物の仕事に注力するとともに、老朽化した設備、システムの刷新にも取り組んでいる。 「会社に入社してから、改善しなければならないと感じていた点はシステム面。前の職場では、システムエンジニアを事業所に配属させ、顧客や現場の要望に対応できるようにしていた。我々のように小規模な出荷が多い事業者には、それをサポートしてくれるシステムが必要。顧客にとっての利便性を向上させるためにも、改善に力を入れたい」 常駐のエンジニアを雇い、在庫管理、集計といったシステム全般を改良すると同時に、古くなった機材を改めた。事務作業の時間を大幅に短縮しながら、システムトラブルへの対応を迅速化することで、リスクの軽減に役立てている。ホームページも無駄の多いデザインからシンプルな内容に変更する一方、サービス案内や施設情報を充実させ、受注件数増を狙う。 「システムエンジニアは現在一人だが、今後増員も考えている。業務を効率化し、従業員の負担を軽減することができれば、社員同士のコミュニケーション強化や、新たな企画を考える余裕が生まれる。会社を成長させるためにも、ボトムアップ方式で意見を吸収できる土台をつくりたい」 少量多品種を扱う際の問題として、特に誤出荷に気を付ける。チェック係に加え、積み込みの際のドライバーによる確認も義務化。ピッキング担当、チェック係、ドライバー、3段階の手順を経ることで、配送のミスを最低限に抑えている。社員食堂には、無誤出庫・出荷の継続日数を掲示し、従業員のモチベーションアップも図っている。 「地域に根付く中小企業であることを生かし、大企業では難しい、細かい仕事を丁寧にこなしていくことが目標。危険物を保管するには専用の設備が必要だが、化粧品やペット用品など、意外と知られていないものも多い。そういったものを手軽に預けられるサービスを展開したい」 【写真=地域密着型で営業の拡大を図る】