日本海商事、山陰で3PL構築 季節波動を平準化
物流企業
2016/11/10 0:00
【島根】日本海商事(小平懃社長、島根県隠岐の島町)は山陰地方で小ロット、小商圏のサードパーティー・ロジスティクス(3PL)体制を構築する、数少ない地場密着型の物流企業だ。顧客はメーカーや問屋など450社に及び、飲料をはじめ日用雑貨、食品、建材など幅広く扱っている。 現在のサービス体制を築いたのは、1999年に発足した物流部門。もともと大手飲料メーカーの特約として、隠岐の島など離島向けの製品配送を行っていたが、高い物流コストを下げようと、共同化を多数のメーカーに提案。共感した取引先が徐々に増えるとともに、配送エリアも山陰全域に広がっていった。 並行して、季節波動を平準化させるために一般貨物も開拓。日用雑貨のほか、建材・設備機器の大手メーカーも顧客に持ち、保管から配送まで一貫したセンター機能を担っている。 主要な拠点は安来営業所で、1万平方メートルの敷地に保管面積3300平方メートルの倉庫を保有する。午前は食品、午後が日用雑貨、深夜には建材と、時間帯で取り扱い荷物が異なり、24時間体制で運営。同営業所ではトラック60台を構え、山陰地方で定期便40コースを設けているが、1日3回転する車両もあるほど稼働率が高い。 物流部門を統括する阿部洋史専務(49)は、「消費者に近い立場で、地域特有の市場の実態やニーズを把握できるのも我々の強み。荷主各社は商品だけでなく考え方、伝票一つまで何もかも異なるが、それらを組み合わせて3PLを構築するのが醍醐味(だいごみ)。提供する情報が、商品開発に生かされることもある」と話す。 種々雑多な荷主を相手に、合理的な物流サービスを提供し続ける原動力は、人材の成長を促す現場主導型の方針だ。阿部氏は「社員が企画・立案したアイデアや改善策は、基本的に採用して実行することにしている。失敗しても次の成功につながるし、何よりもモチベーションアップになる」と説明する。 新卒者の採用も進めているが、核となるのは30~40歳の社員。「他の仕事を辞めてきた再就職者も多く、再チャレンジの意識があり、定着率は高い。物流の現場は日々繰り返しだが、彼らに面白さややりがいを提供するのが管理者の役割」として、この年代を常に維持できる社風を心掛けている。(矢野孝明) 【写真=安来営業所を拠点に、定期便40コースを設ける】